Every Day is “Global” at ICU.

-日常に息づくICUの「グローバル」-

Global ICU

学びの最前線 多様な学問領域を幅広く学び、知識を有機的に融合させることで
新たな視点を見出すICUのリベラルアーツ。
その学びは世界を視野に展開されています。

SCROLL
環境研究

Global × 日本文学

欧米視点で見る東アジアの歴史とは

私を日本文学の世界に誘った2度の運命的な出会い。

イギリスに生まれた私が、日本という国に興味を抱いたのは、本当に偶然の出会いがきっかけでした。大学進学のための面接が1週間後に迫った頃、友人と立ち寄ったパブで日本人と思いがけず話し込んでしまったことが全ての始まりです※。たった30分程度の何気ない会話でしたが、「フジヤマ」「サムライ」レベルの知識しかなかった私にとって、初めて聞く遠い異国の話は何とも言えず非常に興味を掻き立てられました。そのため、大学ではフランス語とドイツ語を学ぼうと考えていましたが、急遽日本研究に変更しました。

それ以来日本文学に没頭した私は、博士論文の研究テーマを検討する中で、たまたま手にした日本人作家のリストに目を止めました。ピックアップされている20人の作家の内、10人がキリストの教えに共感していたからです。当時は日本に1%もクリスチャンがいない時代。仏教や神道が圧倒的多数を占める国において、衆目を集める作家の半数がキリスト教に興味を抱いていることに大変驚いたのを覚えています。私はその中から4人の作家に特に注目し、今ではその内の一人である遠藤周作の作品を特に分析・研究するに至っています。

※イギリスでは18歳の飲酒は合法

遠藤周作が作品に込めた宗教への想いとは。

私の研究の特徴は、作品を文学的に評価することより、当時の社会的状況を加味して読み解くことに重きを置いている点です。中でも、作家自身の信仰がどのように作品に反映されているかは私にとってメインとなるテーマの一つです。

遠藤周作は母親の影響でキリスト教に入信していたものの、比較的寛容な宗教観の持ち主でした。そのため、異なる宗教学者同士の対話を盛んに促していたようです。その考え方は、代表作の一つである『深い河』にも表れています。さまざまなバックグラウンドを持った6人の日本人が、インドのガンジス川を目指して道中を共にする様を描いた作品です。旅の理由が異なる彼らが、苦難を乗り越えて共に目的地にたどり着き、それぞれ悟りに近い神聖な体験をする。それはまさに、表面的な違いはあっても信仰心そのものに隔たりはなく、宗教と宗教の間に対話が成り立つことを象徴していると言えます。

一方で、遠藤は自ら「日本人」と「クリスチャン」という二つのアイデンティティの間でジレンマを感じていたと公言しています。私は本人から、母親によって当たり前のように選ばされたキリスト教徒としての生き方を、何度も放棄しようと試みたという話を伺ったことがあります。

そんなジレンマを垣間見られるのが『私が棄てた女』です。簡単に解説すると、田舎から出てきたミツという若い女性が、東京で出会った吉岡という男との悲恋や大病の疑いと闘った末に不慮の事故で命を落としてしまうというストーリーで、ミツの死を知った吉岡の自省の念に駆られた手記の体裁をとっています。

遠藤は、この作品が"私が棄てたイエス"と言い換えられると話していました。ミツのもとを離れて他の女性と一緒になることを選んだ吉岡という男の心境が、自分自身のキリスト教への揺らぐ想いと類似していると、数々の講演で公にしているのです。遠藤は最後までイエスの教えから離れませんでしたが、日本人であるがゆえに常に宗教的な違和感を抱きながら日々を送っていたことを如実に表した作品です。

学際的な分野と多様な文化に触れる意義。

リベラルアーツを標榜するICUですが、多聞に漏れず私も学際的に研究を行っています。遠藤周作を中心に日本文学を題材に上げながら、作品に秘められた宗教観や当時の社会の状況を読み解いていく、その包括的な視点にこそ面白さがあると感じています。

母国イギリスでは、日本の多くの大学がそうであるように入学の時点で専門を決めるのが一般的です。私自身、運命的な出会いを経て18歳で日本文学の世界に飛び込みました。結果として、今でも同じ道を進んでいることを思えばその選択は正解でしたが、やはり専門分野を決定するには10代は若すぎる印象があります。私は日本でリベラルアーツに出会い、その魅力に感銘を受けました。幅広く知識をつけた上で専門を深められるという点で、ICUは素晴らしい環境だと感じています。また多言語でのコミュニケーションが当たり前で、それに伴って多様な文化に対応する力を伸ばせることは、学生にとって非常に有意義です。国境の概念がさらに薄まっていくこれからの社会では、バイカルチャーもしくはマルチカルチャーを理解した人をグローバル人材と呼ぶのだと思います。

多様な文化に触れる経験をしたい人は、ぜひICUに入学して欲しいですね。

Profile

マーク・ウィリアムズ 教授

国際学術交流副学長 [専門:日本文学]

オックスフォード大学で日本研究をスタートさせた後、カリフォルニア大学、大学院にて東洋・日本分野の研究を続けた。1991年に博士課程を修了してからは、国内外の大学機関で日本についての教育・研究に従事している。2017年9月より現職。
※ウィリアムズ国際学術交流副学長は、授業は担当していません。

環境研究

Global × 日本文学

欧米視点で見る東アジアの歴史とは

地球全体を俯瞰する視点で、環境に優しい経済活動を支えたい。

化学の中でも大気汚染を専門にしており、今は特に光化学オキシダントの原因物質について研究しています。特に窒素酸化物、反応性窒素酸化物について研究しています。窒素分子と酸素分子はもともと反応性が強いわけではありませんが、発電所や自動車のエンジンによって空気が熱せられることで、化学結合が組み変わって、窒素酸化物ができることが分かっています。

国内の環境に目を向ければ、数十年前に比べて空気はずいぶんきれいになりました。しかし大陸から流れてくる空気には、種々の開発の影響が色濃く表れているのが現状です。

日本を含めて大きな規制も無く開発を進めてきた先進国が、環境への負荷を理由に発展途上国の開発を中止させることはできません。私たちがすべきは、経済活動をやめさせることではなく、自国の産業を守りつつも、技術を提供したり、より環境に優しい形で経済の発展や開発が進む方法を明らかにすることです。大気科学者は、より効果のある対策を明らかにし、時間帯を限定した規制を提案するなどして、科学的立場からの知見が国際的な政策を決めるうえでの道筋になればと思い、日々研究を進めています。

国内外の研究者との連携。"境界"にこそ研究の面白さがある。

研究を進める中で、国際学会などへの参加を通じて海外の研究者と交流する機会も多いです。気候や街のつくられ方、人口密度や市民の生活習慣など、条件によって得られるデータは全く異なるため、計測に行けない国の数値は海外の研究者から収集して参考にしています。

また、海外との連携に限った話ではありませんが、どんな研究も一人ではできません。大気には約1,000種類の物質が含まれており、窒素酸化物が反応を示す物質をすべて私が分析することは事実上不可能です。多くの場合、それぞれの物質の専門家同士で集まって、共同研究を行っています。大きなフィールドワークになると、10~20のグループが集まって研究することもあります。

近年、教育・研究の世界では"interdisciplinary(=学際的)"というワードが盛んに聞こえてくるようになっています。2016年に大気環境学会にて賞をいただいた、水田に関する研究※でも稲作の専門家にご協力いただき、水の管理方法や栄養と成長の関係などに関する情報を得ながら、研究を進めました。私自身も、異なる分野の研究者などと連携して新たな発見を生み出すことは、研究活動の醍醐味の一つであると感じています。

※『水田土壌からの亜硝酸ガス(HONO)直接発生フラックスの測定および大気濃度への寄与評価』
参考記事:https://www.icu.ac.jp/news/20160630.html

幅広く体験して学ぶ中で、自らの興味を見定めてほしい。

ICUでキーワードの一つになっているリベラルアーツは、まさに"interdisciplinary"を体現した学びです。2年次でメジャー(専修分野)を決定するまでにいろいろな分野の学びを経験できるので、高校卒業の時点でさまざまな方向に興味が向いている人には最適だと思います。

私が担当している一般教育科目の「自然の化学的基礎」は、受講者の9割以上が文系の学生です。彼らが社会に出た時、商品開発や法整備の現場でほんの少し化学の話が出るだけで思考が停止してしまうようでは非常にもったいないと思います。そうした場で、相手を理解できるようになってほしいと考え、身近な話題で興味を喚起しながら授業を展開しています。

教員もより有意義な授業を学生に提供するために、成長を続けなければならず、日々研鑽に励んでいます。私はこの夏、スーパーグローバル大学創成支援事業の一環で、教育方法に関する研修に二つ参加しました。一つは新たなアクティブラーニングの手法の習得を目指したもので、早速担当科目に取り入れています。学生の反応も上々です。主体的な学びを通して、少しでも彼らの今後につながる物を得てくれればと願っています※1。

もう一つは英語での授業に関する研修です※2。英語で行う授業では、言語の習熟度が異なるため、学生がどこまで言葉を理解しているか把握しながら進める必要があります。そのため、グループワークを実施しながら、理解度を把握することが多いのですが、必然的に講義形式より進度が遅くなるジレンマがありました。研修では、これを解消するための術をいくつか知ることができ、今後の授業に生かしていきたいと考えています。

ICUは、世界に開かれた大学であり、教員も学生も多様なバックグラウンドを持っています。教室の中でも外でも、自分の世界が大きく広げられる環境が整っているので、学生たちにはさまざまな事に挑戦して、自分の好きなもの、自分ならではの道を見つけてほしいですね。

※1.グローバルリベラルアーツ・アライアンス主催 "Science Pedagogy Workshop"
※2.Oxford EMI Association English Medium Instruction Summer Course

Profile

峰島 知芳 准教授

[メジャー:化学、環境研究]

東北大学で修士課程を修了後、カリフォルニア大学バークレー校にて2008年に博士号を取得。帰国後も研究所や大学で研究を続け、2014年にICUに着任。2016年からは化学メジャーのメジャー・アドヴァイザーを務めている。

人口学 文化人類学地域研究 ジェンダー・セクシュアリティ研究

Global × 人口学

森木 美恵上級准教授 人口問題から読み取る各国の暮らしとは

変わっていく社会の状況と変わらない価値観。

文化人類学が専門で、特に各国の人口問題について研究しています。研究を始めたきっかけは、大学卒業後のアメリカへの留学。師事していた先生から、人口学という学問の存在を知りました。日本でも少子高齢化が取り上げられて久しいですが、一口に人口研究と言ってもさまざまな学問が関わっています。経済や統計、さらには生物や地理など、それ自体が非常に学際的な分野だと感じています。その中で、マクロな視点に終始するのではなく、国家全体の人口構造とコミュニティにおける生活がどのように関わり合っているかを追求するよう心掛けています。

初めに研究対象地域としたのはタイで、注目したのは、人口動態と家族の在り方がどのように関係しているかでした。タイでは、1990年代から合計特殊出生率*が人口置き換え水準**を下回り、少子高齢化が問題になっていますが、研究を進めるうちにタイ特有の考え方や価値観がその要因となっていることが分かりました。タイでは年金制度がまだまだ未整備なため、子どもが両親の面倒を見るのが一般的で、特に末っ子の女性が残って両親と同居することが多いのです。その背景にはタイ人は伝統的に仏教を重んじ、輪廻転生を信じているため、現世でより多く「徳」を積み、来世で高い身分の人に生まれ変わりたいという考えがあります。男性は大人への通過儀礼として一度は出家するのが伝統で、そこで修行に励むことで「徳」を積むことができると考えられていますが、女性は「出家」することができません。そのため両親の面倒を見ることで、育ててくれた恩を返して「徳」を積むという考えが根強く残っていると、現地での研究生活を通してわかってきました。このタイの伝統的な価値観により女性が両親のもとを離れないことなどにより、お付き合いしている男性はいても結婚をしない女性が増え、結果として合計特殊出生率の低下の一因となっていることが判明しました。

社会の状況が変わっても、人々の生活には変わらない側面があります。研究を進めていく中で、その集団に根付く価値観や考え方を探ることが文化人類学の醍醐味だと思います。

*合計特殊出生率:15~49歳までの女性に限定し、各年齢ごとの出生率を足し合わせ、一人の女性が生涯、何人の子供を産むのかを推計したもの。
**人口置き換え水準:人口が長期的に増えも減りもせずに、親の世代と同数で置き換わるための出生の水準。日本における2015年の値は、2.07。

出生率の低さに垣間見えた、日本人独自の幸せの形。

現在は、日本国内の少子高齢化に目を向けています。生物学的には、妊娠に適しているとされる女性の年齢は世界中ほとんど同じです。また、日本人の女性が他国の女性と比べて生物学的に妊娠する力が低いわけではありません。ではなぜ出生率は下がるのか。養育費などの経済的な観点から議論されることも多いですが、理由はそれだけではないように感じました。

着目したのは日本人夫婦の性交渉の頻度です。日本大学人口研究所がまとめたデータによれば、他国に比べて明らかに頻度が低いことが分かりました。妊娠する力を表す「妊孕力(にんようりょく)」の推計によると、一年以内の妊娠を念頭におく場合、想定される夫婦間の性交渉は、週に1回程度となります。しかし日本人における多くの夫婦の場合、回数はそれ以下で、他国からは「冷めている」印象を持たれてしまうようです。こうした日本の現状に関する研究が発表されたとき、"Marriage without bliss(=至福なき結婚)"という見出しの記事が海外の新聞に掲載されたことからも、感覚の違いが読み取れます。

しかし、日本の夫婦の多くが「至福なき結婚」と感じているかというと、もちろんそんなことはありません。一般の男女を対象に座談会形式の調査を実施したところ、家族としての絆は十分に感じている方ばかりでした。分かってきたのは、日本と他国における夫婦間の距離、親密性を感じる点が異なること。欧米においては身体的な関係を重視するのに対し、日本では「何もしゃべらずに同じ部屋にいても、気まずい感じがしないとき」「人には言えないようなネガティブなことも話せるとき」といった精神的な結びつきに重きを置く傾向が強いようです。

さらに知的好奇心を刺激する研究を。挑戦の原動力は想像する力。

親密性の表現について、現時点ではまだ小規模な聞き取り調査を実施した段階にすぎませんが、今後は調査をより広く展開させたいと考えています。この調査に興味を持ってくれている外国人研究者もいるので、日本だけでなく、タイの隣国ラオスやアメリカを対象に調査を実施するつもりです。日本、ラオス、アメリカの3カ国の情報がそろったところで比較すれば、とても興味深いデータが得られるのではないかと思います。

もちろん、予測と異なる結果が得られる可能性もあります。しかし、そのような状況も楽しみながら研究に向き合っていきたいです。そもそも親密性の表現方法についての調査も、人口研究を始めた当初は考えていませんでした。分からないながらも、答えを想像しながら進んだ結果、今の道にたどり着いたのだと思っています。

同じように、学生たちにも知的好奇心をもち、想像力を大事にしながら学んでほしいと考えています。例えば実験で立てる「仮説」も、平易な言葉で言えば「想像」です。若いうちに多くの人と対話し、さまざまな経験を積む中で想像力を養ってほしいですね。もちろんチャレンジが多いほど失敗も多いかもしれませんが、それも成長の糧。経験の幅が広いほど、リアリティのある仮説を立てられるはずです。無駄なことはありません。全てを成長のチャンスととらえて、挑戦を続けてください。

Profile

森木 美恵 上級准教授

[メジャー:人類学、ジェンダー・セクシュアリティ研究、アジア研究]

東京女子大学を卒業後、ペンシルヴェニア州立大学にて人類学・人口学の修士号および博士号を取得。2007年から約2年間日本大学人口研究所に所属し、2009年4月にICUに着任。

環境研究

Global × 日本史学

欧米視点で見る東アジアの歴史とは

初めて聞く言語の、魅力的な響きに惹かれて。

小学生のとき、母国ハンガリーでジェームス・クラベル原作の『将軍』のテレビドラマを見たことがきっかけで、日本に興味を抱きました。私が最も惹かれたのは、言葉としての日本語の面白さです。当時初めて日本語を聞いた私は、言葉の響きに徐々に魅了されていったのを覚えています。

日本への単純な興味が研究対象に変化したのは、大学に入ってからです。言語に始まり、アジア地域の歴史・文学などに学びの範囲を広げていきました。大学で学びを進めるうちに感じたのは、自分の興味が言語学から歴史学に移っていっていることでした。歴史学はただデータを巻き戻すだけの学問ではなく、当時の人々の心境を理解するという点でとても人間味のある学問だと気付いたからです。それからは、史料を読み解くだけでなく、文献に登場する人たちのパーソナリティや心境、人間関係に迫りたいと考えながら研究しています。そのため、当時の文学作品に目を通し、人々の心境を探ることもあります。また、対象となる人や時代の考証のために、紀行文に記された実際の旅路をたどるなど、フィールドワークを行うこともあります。現地を歩いてみると、文章だけでは見えなかったことに気付いたり、新たな裏付けが取れたりすることも多く、非常に有意義です。

これからも広がり続ける、異国の歴史への探究心。

今は、日本を中心に15~17世紀の東アジア交流史を研究しています。具体的に着目しているのは、室町時代の日中関係がどのように築かれ、中近世移行期における社会・経済的発展が日本の対外交流にどう影響したのかという点。さまざまな文献に当たる中で、明の時代の中国に渡った日本人の日記や文書を集めた「入明記」という史料群に、約10年前に出会いました。

もともとは奈良~平安時代について研究しようと考えていましたが、残念ながらすでに先行研究がたくさん存在していました。一方、入明記の研究は、日本人の研究者の間でも始まったばかりの状況で、とても興味深いものでした。以降、入明記を読み解きながら、日本から中国に渡った人々の心境や、国全体が大陸から受けた影響を追い続けています。

今は中国、日本と東アジアに絞っていますが、今後はさらに範囲を広げてヨーロッパからの人の流れが東アジアの国際環境にもたらした変化についても研究したいと考えています。議論の大きな方向性として、ヨーロッパ諸国の文化や制度が日本と中国の関わりにどのように作用したかがポイントになっています。欧米の力が、勢力図に大きな影響を与えたとする考え方もあれば、東アジア独自の風土が確立されていてあまり作用しなったとする向きもあり、実際にはどうだったのかを解いてみたいと思います。

身に付けてほしいのは、歴史の知識だけでなく深く理解し主張する力。

リベラルアーツ教育を展開するICUには、専門分野を決めずに入学してくる学生が多く、私の授業も歴史を専門としていない学生が多数受講しています。知識の幅を広げてさまざまなことを学ぶことで、広い視野を持つことができるでしょう。

しかし、それだけで終わってしまうのはとても残念です。多様な分野に目を向けながらも、最終的に何にフォーカスして卒業論文を執筆するのかという視点を、学生たちには常に持っていてほしいと感じています。ICUの学びの範囲はただ広いだけではありません。専門の先生に師事すれば、その分野を深めることも可能です。のんびりと多様性に身をゆだねるのではなく、4年間のうちのどこかで範囲を狭めていくことがとても大事ですね。

また授業では、学生たちに一部ではなくあらゆる資料を探ったうえで自分の考えを主張するよう、徹底して指導しています。特に歴史学は、すでに起こった事実について検証する学問です。勝手な解釈で話を展開するわけにはいきません。複数の文献を深く読み取り、十分に理解した上で自分なりに主張することを心掛けてほしいです。そのためには、史料を読み解くだけでなく、当時の人たちの生活や社会情勢などに思いをめぐらせながら考察する、リベラルアーツの素養が大切になってきます。歴史学を学びながら、さまざまなことを関連付ける力や、知識だけではなくディスカッションにおいて基礎となる「深く理解して主張する力」を養ってほしいですね。

Profile

オラー・チャバ 准教授

[メジャー:歴史学、日本研究]

母国ハンガリーで中国学・日本学の修士号を取得した後、ドイツに渡りルートヴィヒ・マクシミリアン大学ミュンヘンで中国学を研究し、博士号を取得。2007年からは東京大学に留学し、2014年に日本史学の博士号を取得した。その間、同大学で外国人特別研究員を務め、2012年9月より現職。