卒業生の声

*肩書はインタビュー当時のものです。

*肩書はインタビュー当時のものです。

野山 和美 
イケア・ジャパン株式会社 ストアマネジャー
2006年 教養学部社会科学科(当時) 卒業

グローバル企業でどこまで成長できるか、 挑戦を続ける

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自分のキャリアは自分でつくる

私がストアマネジャー(店長)を務めるイケア港北店では、約400人の従業員が働いています。その一人一人がしっかりと力を発揮し、快適に仕事を進め、お客様により良い商品と体験をお届けできるように、全体をマネジメントしています。

イケアに新卒で入社し、最初は物流部門を志望しました。そこで倉庫業務に携わり、5年間、裏方として店舗運営の基盤を学びました。フォークリフトの免許を取得し、荷物の積み下ろしを行うのは予想外でしたが、さまざまなバックグラウンドを持つ人たちと共に働く日々は、とても新鮮で充実していました。その後、会社の研修プログラムに志願し、フィンランドの店舗とカリフォルニアの物流倉庫に勤務。帰国後は、物流部門のマネジャーを2年半務め、チャンスをいただき、デピュティストアマネジャー(副店長)へ。約2年前よりストアマネジャー(店長)職に就きました。担当した業務での実績の積み重ねや周りの方々のサポートなど、さまざまな要因がうまく働き、マネジメントに携わらせていただいているのはありがたい限りです。日本社会の中で女性が若くしてマネジメントに携わる例が少なく、その状況に対するチャレンジという意味もあると受け止めています。

ストアマネジャーとしてのミッションは、ビジネスとして利益を確保すること、人を成長させること、それらを会社の成長戦略に沿って進めることです。また、お店の顔として積極的にイケアの情報を発信したり、お客様に対する新しいアプローチの方法を考えたりと、日々アクティブに動いています。「同じイケアでも、ストアマネジャーが変わると店舗の雰囲気も変わる」と言われています。おそらくストアマネジャーの趣向やプライオリティを置いていることが一緒に働く人たちに伝わり、それが店頭にまで表れるのだと思いますが、これは店長職の面白いところです。私は「従業員が高いモチベーションをもって満足して働いていなければ、お客様も満足しない」と考えており、IKEA港北店に赴任して約半年ですが、こうした自分のカラーが店舗全体に出てくるのか、これからが楽しみです。

単なる多国籍とは違う、本当の多様性を体験

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ICUを知ったのは、高校生の時に両親の知人から話を聞いたことがきっかけです。当時、興味が多岐にわたっており、「英語を学びたいから英文科」というように一つの分野に絞るのではなく、とにかく自分の可能性を広げられそうな大学・学部を探していました。そうした中で、英語を手段としてリベラルアーツを学ぶICUを知り、面白そうな大学だと思ったのです。そして実際にキャンパスを見学した際、とても居心地がよく、ワクワクする感情を覚えたことが入学の決め手となりました。

学生生活で出会った人たちは、キャラクターも考えていることも皆違っており、異なる意見を述べても受け入れられる環境でした。「僕は宇宙が好きなんだ!」と言って宇宙の話ばかりしていた人も、「変わった人」扱いはされません。他人のことを否定するより、むしろ多様な意見を取り入れることで、しっかりした自分の考えを持っている人が多かった印象です。

私は元々、意見は持っていても、それを積極的に人前で発言するようなタイプではありませんでしたが、ICUの授業では、ディスカッションやプレゼンテーションなどで意見を求められる機会が非常に多くあり、とても鍛えられたと思っています。さらに、大きな転機となったのは、アメリカでの1年間の交換留学でした。環境学を学ぶのが目的でしたが、専門的な内容に英語力が追い付かず、予習の資料を理解するのに苦戦しました。授業ではその予習を前提にディスカッションしたり、学生同士でペアワークを行ったりするのですが、自信が持てなかったため発言できず、発言しないことで次第にペアを組んでくれる相手がいなくなり、大変なショックを味わいました。「伝わらなくても、間違ってもいいから積極的に発言しよう」と心に決めたのはこの時です。徐々に周囲の反応も変わっていくのが分かりました。「結果を出せば、そこから信用につながる」、さまざまな人がいる環境では、何かしらの形で「私はこれができます」と証明する必要がある。就職後も物怖じすることなく自分の考えを口にだして表現できているのは、留学での経験や、ICUの授業のおかげですね。

世界で力を発揮していくために

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イケアに入社したのは「家具が好き」というより、自分の視野や可能性を広げられそうな会社だと思ったからです。私が就職活動をしていた当時、イケアは日本に進出したばかり。「新しく日本に入ってきた企業で、一からビジネスに関わることができる。これはチャンスだ」と感じました。また、グローバルで成功している企業がどのようにビジネスを展開しているのか、その中で自分がどれくらい結果を出せるのかにも大きな興味がありました。

グローバル企業でポジションを得ていくためには、「自分は何をやりたいのか」「自分はどう考えるのか」という自分の芯を持ち、それを言葉で表現していくことが大切だと考えます。実際に言葉にすることで、周りも気づいてくれますし、自分にも良いプレッシャーがかかります。また、多様性を受け入れることもグローバルに働く上では不可欠です。会社の目標は一つでも、目標を達成するためのアプローチは人それぞれです。多くの人と協力しながら成果を最大化するためにも、多様な考えを認め、「どのスイッチを押せばこの人は力を発揮できるのか」というように、一人一人の個性をしっかりと見定めていくことが重要だと感じます。

日本人である私が、グローバル企業で今のキャリアを築くことができたのも、ICUでの学生生活や留学の経験が大きなベースにあると感じています。ICUにはいろいろな人がいて、いろいろな考え方があります。多様な考えを吸収し、多様性の中で揉まれることで、視野は大きく広がるはずです。そういう意味で、ICUは最高の場所だと思っています。

Profile

野山 和美
イケア・ジャパン株式会社 IKEA港北店ストアマネジャー

2006年 教養学部社会科学科(当時) 卒業

国際基督教大学卒業後、イケア・ジャパン株式会社に入社。IKEA港北店の物流部門で倉庫業務に携わった後、フィンランドのIKEA Vantaa Storeに半年間、カリフォルニアのDistribution Center (物流倉庫)Tejonに半年間勤務。帰国後は、IKEA新三郷店のグッズフローマネジャー(物流部門マネジャー)、IKEA鶴浜店のデピュティストアマネジャー(副店長)、IKEA仙台店のストアマネジャー(店長)を務める。2019年よりIKEA港北店のストアマネジャーに就任。

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