在学生・教員の声

武山 静夏 (たけやま しずか)教養学部4年(インタビュー時)

メジャー:生物学

理系学生に魅力的な留学プログラム

生物学の最先端の研究現場を確かめたい

2年次の冬ごろまでは、留学は自分の選択肢にはなく、学部卒業後は大学院へ進学しようと考えていました。そんな時、留学経験のある先輩から「大学院に進学して研究を深めるなら、生物学の最先端の研究が行われているアメリカに留学し、研究現場を自分の目で確かめたほうがよい。絶対にためになる」と、非常に強く留学を進められました。このことがきっかけになり、留学を前向きに検討していた時、所属している研究室の布柴達男教授(メジャー:生物学、環境研究)から、今回参加したリベラルアーツカレッジで理系教育に定評があるウースターカレッジ(オハイオ州、アメリカ)の留学プログラムを紹介されました。

この留学プログラムは、理系に特化していて、卒業論文に必要な研究計画の立案と初期の研究をウースターカレッジの研究室で行えるのが特徴で、帰国後はその研究をICU内で継続し、卒業論文としてまとめることになります。留学期間は3年次の冬学期から4年次の秋学期前にあたる、1月中旬~8月末まででした。今回、留学時期がウースターカレッジの研究施設の改修工事と重なってしまい、研究室での研究は行えなかったのですが、卒業論文の計画を立てるための授業、生物学の実習、理系の論文制作に必要なライティング力を磨く授業を履修しました。

考えを深めたディスカッション

ウースターカレッジの授業は、常にディスカッションでした。卒業論文の計画を立てる授業では、これから自分が行う研究を深く知ることを目的に、研究領域が近い文献を多数読み、学生同士で意見を交わし、その上で研究論文のイントロダクション(序論)を非常に細かく書くように指導されます。まず自分の研究をよく知り、そしてどのように論文を組み立てるべきかを熟考することが、この先の研究を進める上で非常に重要だからです。具体的には、計画の各セクションを書き始める前に、お手本となる計画を皆で読み、「どういうことが書いてあり、どう書くべきなのか」などのディスカッションを行ないます。書き方のよい指針となるお手本について、議論を交わすことで、自分の中でもポイントが明確になるのを感じました。また作成段階の研究計画を学生生同士でレビューし合う場もあり、質問から気づくこと、逆に友人の計画を聞くことで発見することもありました。

また、実習のクラスでは、毎回の授業で先生や友人たちに、前回の研究結果、これからの研究予定を発表する場があり、「なぜ結果が出たと思うのか」、「次にこの操作を行うのはなぜか」といった質問を受けながら、研究を進めていきます。

インプットした情報や得た結果を常にアウトプットするよう求められ、質問を受けることで自分が考えていなかった点に気づき、自分の研究計画を修正することの繰り返しでしたが、この一連の流れの中で、自分の意見や考えをより深く持てるようになり、ディスカッションの意義を痛感しました。

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ウースターカレッジの実験室

研究室での研究、ライティング力向上が可能なプログラム

今回の留学では、自分の考えを深く持てるようになったこと、卒業論文の計画が作成できたことと、そしてもう一つ、英文のライティング技術を向上させることができたことが大きな収穫です。

理系に特化したライティングのクラスでは、科学に詳しくない人に科学の論文を伝えるための資料作りを行いました。ネイティブの方の完成した論文を見る機会はありますが、その作成過程を見る機会はあまりありません。今回、ネイティブの友人たちの文章作成過程や、同じ論文であるにも関わらず作る人によって異なる様々な表現を見ることで、書き方、言い回しなどを多数学び、英文執筆に関する苦手意識も少なくなりました。

ウースターカレッジの留学プログラムは、期間は約半年と短いですが、プログラムの中に研究室での研究が組み込まれているので、最先端の研究に触れたい人、そしてライティング力を伸ばしたい理系の学生にはとても魅力的でお勧めのプログラムだと思います。また、ウースターは、ICU同様に少人数の教育環境で、学生はほとんどが顔見知りで、皆が非常にフランクに接してくれるので、生活の不安も少ないと思います。

私も以前は留学に消極的でしたが、今は留学したからこそ学び得られることがあるので、非常に良かったと思っています。もし、少しでも留学に迷っているのであれば、実行した方がよい結果が得られると思います。