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「持続可能な開発目標達成に向けたアクション対話」を開催

公開日:2017年3月2日

2016年12月17日(土)、日本の国連加盟60周年を記念して「持続可能な開発目標達成に向けたアクション対話」を開催(国際基督教大学社会科学研究所主催)しました。2030年までに実現すべきグローバル目標として、2015年9月の国連総会で採択された「持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)」。「誰一人取り残さない」を誓うこの目標の達成を目指し、世界はどう変わるべきか。国連グローバル・コンパクト*と大学の貢献策を探るための対話が行われました。

*国連グローバル・コンパクト:署名企業・団体が責任ある創造的リーダーシップを発揮し、持続可能な社会の実現に向けた世界的な取り組みです。

【トークセッション】責任あるグローバル市民を育む

ゲスト:有馬 利男氏(国連グローバル・コンパクトボードメンバー/グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン代表理事)

聞き手:日比谷 潤子(国際基督教大学学長)

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SDGsでは、貧困や飢餓など途上国を中心とする課題だけでなく、教育や働きがい、街づくり、生物多様性など途上国・先進国共通の課題に関する17の目標が定められています。その中で2030年までに達成すべき質の高い教育の一つに挙げられている「グローバル市民教育」について、本学同窓生(1967年卒)で富士ゼロックス株式会社・元代表取締役社長の有馬利男氏と、日比谷潤子学長によるトークセッションを行いました 。

「人間の顔をしたグローバル市場」を目指して

SDGsが目指す17の目標は、国連グローバル・コンパクト署名大学でもあるICUが掲げるミッションに深く関わる課題です。

冒頭で、日比谷学長は、「2013年度入学式の式辞ではSDGsの前身のMDGs※に触れ、『世界には初等教育を受けられない人が多くいる。だからこそ皆さんはICUの学びを生かして社会に貢献してほしい』と訴えました。その後、2015年度の卒業式ではSDGsについて話し、日常生活の中ですぐに実行できるアクションがたくさんあり、私たち全員が参加すべきものであることを強調しました」と、これまでもSDGsに強い関心を持ち、折に触れて学生に伝えてきたことを振り返りました。

続けて、国連SDGsのWebサイトにつき「SDGsの達成が、いかに皆さんの日常生活に密着していることが分かる内容となっているので、ぜひ一度ご覧ください」と、これを紹介しました。
*MDGs(Millennium Development Goals):2001~2015年までに掲げられた、途上国の社会開発課題を中心とする国連ミレニアム開発目標。

SDGsは、あらゆる開発レベルの国々が共通の目標に取り組む壮大なチャレンジです。目標年である2030年には、どのような世界の姿が望ましいのでしょうか。これについて、有馬氏は次のように語りました。

「それには『結果系』と『行動系』の2つの視点があります。『結果系』とは、マーケットシェアや利益など結果として見えるもの。それに至るシステムや活動が『行動系』です。まず『結果系』について言えば、SDGsには17の目標とそれに付随する169のターゲット、改善の進度を計るインディケーターという数値目標が約230項目ありますが、それらがほぼ達成される状態が望ましいと思います」。さらに「行動系」については、SDGsの実現に向けて世界が力強く進んでいくための共通条件を考えることが重要だと、有馬氏は指摘しました。「アナン元国連事務総長の言葉に『人間の顔をしたグローバル市場』があります。それは、単に成長や収益を追求するだけではない、人の血の通ったグローバル市場のこと。この動きが世界中に広がり連動すれば、SDGsの実現も見えてくるでしょう」。

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「ケチではない」夢とはどんな夢か

SDGsが目指す「責任あるグローバル市民」を育てるには、大学時代に必要な知識やスキルを身につけ、広い視野とビジョンを持つことが必要です。この話題に関連し、有馬氏のICU時代の思い出も語られました。

「学生時代、神田盾夫先生(西洋古典学、新約聖書学の教授)のお宅の犬の散歩のアルバイトをしていたのですが、時折ご自宅でお茶をご馳走になる機会がありました。その際に君の夢は何だねと聞かれ、『海外で働いて豊かな生活をしたい』と答えたら、『ケチな夢だね』と言われまして。ケチではない夢とは何かを考え始めて、今に至っています。神田教授の真意は分かりませんが、人の役に立つ仕事という意味だったのではないかと思いますね。今、私はこうして、国連グローバル・コンパクトではSDGsの達成に向けた活動を推進しているので、その点で少しは人の役に立っているのかもしれません」。

世界の動きに対応するグローバル企業

さらに、SDGsは企業活動とも密接に関わっていると語る有馬氏。

「今、企業はCSRを非常に重視しています。そして、その多くの企業がSDGsと自社のCSR活動の関連性を整理しています。例えば富士ゼロックスにおいては、CSR活動における取り組みは、SDGs17目標ほぼ全てに関わっています。ある取り組みが一つの目標だけでなく、他の目標にマルチプルに関わっているケースも多いですね」。

しかし、企業を含めたすべての者が参加しSDGsの実現を目指す上で、各国の政策が妨げになるケースもあるといいます。

「その典型事例がパリ協定です」と有馬氏。「2015年12月に地球温暖化防止に関する合意がなされましたが、アメリカのトランプ新大統領は、このパリ協定からの脱退を示唆しています。しかし、それに対して365社ものアメリカ企業がパリ協定を順守する旨の共同声明を出しました。今やグローバル企業は国の政策や規制の枠を越え、世界の動きをリードする状況が生まれています。しかし一方では、そんなグローバル企業の『影』の部分に対する人々の反発も根強くあります。だからこそ、『人間の顔をしたグローバル市場』が必要なのです」。

大学から社会に旅立つ人へのメッセージ

最後に、有馬氏から学生へのメッセージが語られました。

「現在、企業は自社の事業の枠内で持続可能な社会に貢献する活動を進めていますが、そうしたインサイド・アウトのアプローチだけでは不十分です。まず社会の課題に取り組んで自社の強みを生かした持続可能なビジネスモデルをつくる、アウトサイド・インに向かわないといけない。若い皆さんはこうした意識を強く持って、社会に出てほしいと思います」。


【報告】リベラルアーツから見たSDGs

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続いて行われた「リベラルアーツから見たSDGs」では、複数の研究所を横断する接近を本学教員が試みました。西村幹子上級准教授(教育研究所)の報告ではSDGsの教育関連ターゲットにおける公正性概念の多様な捉え方が示唆する政策的含意を批判的に検討しました。マーク・ランガガー上級准教授(教育研究所)は、測定可能な指標、実践的スキル、人間開発と環境についての関心事項、破壊的創造という4つの分類で持続可能なリテラシーを評価しました。高松香奈准教授(ジェンダー研究センター)の報告は、ジェンダー平等関連ターゲットの長所と短所に注目し、必要なのは熱望を行動に変えることだと強調しました。毛利勝彦教授(社会科学研究所)はパリ協定発効後の気候対策とエネルギー目標の指標論争を検証し、持続可能な開発の3本柱からプラネタリー・バウンダリー論への変革を指摘しました。]

【シンポジウム】世界を変革するためのアクション対話

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「世界を変革するためのアクション対話」(司会:大森佐和上級准教授、社会科学研究所)には、企業や市民社会のステークホルダーが参加しました。グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン(GCNJ)の野村彰男理事は、SDGs分科会で事例や情報共有などについて報告。丸紅株式会社のCSR・地球環境室の頓所明彦氏・信川理恵氏は、CSRへの取り組みについてアンゴラでの繊維工場リハビリテーションやフィリピンでのマニラ首都圏上下水道事業への参加が複数のSDGsに紐付けられることを紹介しました。SDGsについて多くの現場で国際機関や市民社会組織と連携してキャンペーンを実施している本学大学院生ダッシー・ランさん(Teaspoons of Change)は、一人ひとりの小さな変化が人々と地球を変えて行くと強調しました。北京でのグローバル・コンパクト日中韓円卓会議に参加した本学学部生の川口美琴さん(ユース・プログラム参加学生)は、SDGsについての討論やビデオ作成を説明し、それを上映しました。

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