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2018年春季卒業式を挙行しました

公開日:2018年3月26日

式辞を述べる日比谷潤子学長

式辞を述べる日比谷潤子学長

3月23日(金)、大礼拝堂において2018年春季卒業式を挙行し、学部生447名、大学院生30名あわせて477名に学位記を授与しました。

式では、献学以来の本学の伝統に則り、卒業生一人ひとりの名前が読み上げられ、卒業生は壇上において学位記を授与された後、日比谷潤子学長と祝いの握手を交わしました。

続いて式辞を述べた日比谷学長は、2015年9月に国連総会で採択された「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ(以下SDGs: Sustainable Development Goals)」の合意に、ポスト2015開発アジェンダ担当特別顧問として大きな役割を果たした、アミーナ・モハメッド国連副事務総長の現在の活躍に至るまでの、地道で長い道のりを紹介しました。そして、SDGsの目標4に「すべての人に包摂的かつ公平で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する」が掲げられていることを例に、地球を守り将来世代の暮らしを持続可能なものとするには教育が最も有効であると述べ、卒業生たちに「みなさんは国際基督教大学の教育をとおして、自発的学修者として主体的に計画を立てつつ創造的に学んでいく能力を身につけ、本日学位を授与されました。モハメッド副事務総長のように、受けてきた教育を活かし、さらに生涯にわたって学び続け、それぞれの場所で世の中の変革に貢献していくことを、心から願っています。」と、言葉を贈りました。

また、式の中では、顕著な活躍がみとめられた学生、教職員または本学関係者に対して贈られる「Friends of ICU賞」の授与式が行われ、卒業を迎えた山﨑千鶴さんと故・山口京子さん(元・本学専任一般職員)の2人が受賞しました。

山﨑さんは、英語ディベート大会や国際模擬裁判活動に取り組み多数の賞を獲得しただけでなく、優れたリーダーシップを発揮し、その活動を通して学生が主体的に取り組む「リベラルアーツの中の法学教育」の新たな展開に大きく寄与し、一連の行動はリベラルアーツの理念を体現するもので賞賛に値すると、紹介されました。

山口さんは、2012年に52歳という若さでその生涯を終えるまで、本学において誠実に仕事を行う姿勢と他者に対する深い配慮により、多くの教職員や学生の信頼と尊敬を得た。また、「教職協働」の先駆的モデルとして模範となる姿を示したと、紹介されました。


日比谷潤子学長 式辞(全文)

教養学部卒業生、大学院博士前期課程、後期課程修了生のみなさん、おめでとうございます。ディッフェンドルファー記念館のスクリーンで、この式をご覧になっているご家族、ご親戚、ご友人の方々にも、お祝いを申し上げます。

昨年の10月私は、吉川元偉特別招聘教授の授業「国際関係とグローバル秩序」を履修していた大学院生、毛利勝彦教養学部長とともに、地球規模の課題解決を考える国際シンポジウム「朝日地球会議」に出席しました。この会議は2008年に始まり、2015年までは朝日地球環境フォーラムとして開催されていましたが、2016年から現在の形にリニューアルされ、それに伴い扱うテーマも環境以外に広がりました。フォーラム時代から数えて10年目となった2017年のメインテーマは、「分断から共存へ 私たちが進む未来」。世界各地で起きている「分断」を乗り越えるにはどうすればよいか、国内外の識者や政策決定者、省庁や企業関係者、NPO関係者などが登壇し、3日間にわたって来場者とともに解決策を探りました。

多くのプログラムの中で私たちが参加したのは、2日目のスペシャルトーク「SDGsで世界を変える」です。私は過去の卒業式式辞やオープンキャンパスのガイダンスで、このSDGs(持続可能な開発目標)を何回か取り上げており、また本日の教養学部卒業生の多くが入学した2014年4月の入学式式辞では、その前のMDGs(ミレニアム開発目標)に触れました。みなさんの中には、覚えている人もいるかもしれません。

スペシャルトークは、アミーナ・モハメッド国連副事務総長とNHK「クローズアップ現代」のキャスターだった国谷裕子氏との対談形式で進められました。モハメッド氏は、3代のナイジェリア大統領にミレニアム開発目標担当特別顧問として仕えた後、ポスト2015開発アジェンダ担当特別顧問として当時の潘基文国連事務総長を補佐し、SDGsを含む「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の合意に大きな役割を果たした人物です。ナイジェリアに生まれ、面積の激減が問題になっているチャド湖の近くで子ども時代を過ごしたモハメッド氏は、母国で気候変動が農業や漁業に悪影響を与えた結果、貧困が深刻化し、若者によるテロにつながったという悪循環について、自らの体験を踏まえて語りました。このセッションには、多くの高校生・大学生・大学院生が参加していましたが、次代を担う若者へのメッセージを求められると、「私たちは、地球に対する憂慮や懸念を共有しなければならない。経済や教育に、一人ひとりがどのように関与するかは、未来への意思決定に参画することであり、誰も傍観者であってはならない」と呼びかけていました。

2017年5月26日のガーディアン紙国際版に掲載されたモハメッド氏のインタビュー記事(https://www.theguardian.com/global-development/2017/may/26/why-is-she-here-nigerian-herders-daughter-un-deputy-chief-amina-mohammed)によると、若かりし頃、ヨーロッパへの留学を希望した時には、ナイジェリア中北部のカドゥナから同国北部のザリアまで76キロメートルの行程を歩いてその資金を集めると宣言し、実際に4000ポンドを手にして出国したそうです。勉学を終えて国に戻ってからは、長年にわたり、保健、教育および公共セクター建築物のプロジェクト管理を担当する建築家や技師とともに、民間セクターで働いていました。ミレニアム開発目標担当特別顧問や潘基文国連事務総長補佐に就任したのは、それからのことです。そして、約1年間ナイジェリアの環境大臣を務めた後、2017年2月に現在のポストに就任しました。ガーディアン紙の記事は、モハメッド副事務総長のこのような経歴をマラソンに喩えています。

みなさんは、今日、これまでの数年間を過ごしたICUのキャンパスから、広い世界に飛び立っていきます。就職するにせよ、進学するにせよ、自分が思い描いていたとおりの道に進める喜びにあふれている人もいれば、これからの日々に大いなる不安を感じている人もいるでしょう。また、今は進路に満足していても、さまざまな経験を重ねるなかで、本当にこれでいいのだろうかと、自ら選択した道に迷いが生じる時がくるかもしれません。不安や迷いを抱えた時には、今日の式の最初に朗読されたマタイによる福音書第7章の第7節と第8節をぜひ思い出してください。必ず、求めれば与えられ、捜せば見いだし、門をたたけばあけてもらえるでしょう。

モハメッド氏はガーディアン紙の記事がマラソンに喩えた来し方を振り返り、「今に至るまでの道のりは、世の中を変革するために、受けてきた教育を活かして、地道に歩みを進める長い旅路だった」と述懐しています。みなさんの今後もまた、先の見通しの立てにくいマラソンに他なりません。副事務総長が取りまとめに奔走したSDGsは、目標4に「すべての人々に包摂的かつ公平で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する」ことを掲げています。これは地球をまもり、将来の世代の暮らしを持続可能な形で改善するためには、教育が最も有効かつ効果的な手段であるということを再認識するものです。みなさんは国際基督教大学の教育をとおして、自発的学修者として主体的に計画を立てつつ創造的に学んでいく能力を身につけ、よって本日学位を授与されました。これからの長いマラソンでも、モハメッド副事務総長のように、受けてきた教育を活かし、さらに生涯にわたって学び続け、それぞれの場所で世の中の変革に貢献していくことを、心から願っています。

みなさんの行く手に神の豊かな祝福がありますように。

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