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寺田麻佑准教授が、論文と著作でダブル受賞

公開日:2018年6月7日

このたび、本学の寺田麻佑准教授(メジャー:法学、 公共政策、 環境研究)が、情報通信の制度・政策に関わる若手研究員を奨励することを目的としたNextcom論文賞(運営:株式会社KDDI総合研究所)と、情報通信について社会科学的観点から追究する優れた著作/論文を表彰するテレコム社会科学賞奨励賞(運営:公益財団法人電気通信普及財団)をダブル受賞しました。


Nextcom論文賞を受賞した論文概要

論文タイトル:ネットワーク中立性規制の現状と課題について―EUにおける新規則と日本への示唆―

概要:近年、動画投稿サイトをはじめとして、映像等を含めた大容量コンテンツの消費がインターネット上で頻繁に行われている。また、スマートフォンの普及等の増加により、動画の視聴回数なども増加し、ネットワーク上のトラフィックの負担の在り方や、その規制をどのように考えるべきなのかという問題が生じてきている。そのため、「インターネットを公平に、差別なく利用できること」という概念を中心として、ネットワークの中立性についての議論が、改めて進められている。本論文においては、まず、日本におけるネットワーク中立性に関する議論の状況を見たうえで、さらに、欧州において制定された規則と、BERECによるガイドラインの現状を分析し、日本への示唆を検討している。



テレコム社会科学賞奨励賞を受賞した著作の概要

著作タイトル:EUとドイツの情報通信法制:技術発展に即応した規制と制度の展開

概要:本書は、EUとドイツの事例を取り上げ、日進月歩の発展がみられる情報通信分野における規制と制度の変遷をEUとドイツがどのようにおこなってきたのか、またおこなおうとしているのかに関して、公法学の観点から、現時点における分析と検討をおこない、我が国の情報通信分野における規制と制度について、今後の考えていくべき課題を示している。

EU情報通信法に関する分野においては、現在さまざまな動きがみられ、意欲的な規制手法の模索も存在している。本書では、行政組織の一つの可能性としての、柔軟な調整機構の例を示す意味で、特にBERECという、新しくEU情報通信法制においてメルクマールとなる組織が再編成されたことについて紹介している。また、EU経済のセンター的存在を占めているといえるドイツを取り上げ、同国の情報通信行政の現状と国内法化の取組みについて検討している。最後に、EUとドイツを踏まえて、市場の国際化、2016年という情報通信技術の進んだ現在におけるハーモナイゼーションの必要性について、日本の情況も含めて検討をおこなっている。



寺田准教授のコメント

このたび、「Nextcom論文賞」ならびに「第33回テレコム社会科学賞奨励賞」をいただき、身に余る光栄に存じます。これまでの研究にあたっては、折に触れて、さまざまな先生方、先輩方から貴重なご教示を賜って参りました。これらの先生方、先輩方にも感謝の意を表するとともに、今後とも引き続きのご指導をお願い申し上げたいと思います。

私はこれまで、公法学・行政法学の観点から、行政組織の在り方と情報通信政策・技術と法の規制と振興の在り方につき、比較法制度の観点も含めて研究を進めてきました。また、技術協力の在り方や標準化の推進という観点から、政策の調整の在り方と行政組織(統治機構)の検証―新設や設置の状況などについても研究を進めています。具体的な研究テーマとしては、民営化、公私協調の在り方、規制枠組みの実効性確保、行政組織の独立性、技術と法、人工知能をめぐる新たな規制、国際化と法と技術、などがあります。そのなかでも、近年取り扱ってきた具体的な研究トピックは、EU・ドイツ情報通信法,行政組織(統治機構),公務員法制(官僚制の研究),航空管制,航空法,ドローンの研究を含んでいます。

今後の研究としては、先端的技術と法規制、法枠組み構築の在り方の研究を公法学の観点から進めると同時に、情報通信と法の在り方一般、規制枠組み構築と国際化・ボーダーレス化の現状について考察を深めたいと考えています。

世の中の移り変わりは激しく、人工知能(AI)の活用や自動走行、ドローンの利活用が問題となっています。このようななか、情報と法に関する規制や制度の在り方や、それらに深くかかわる行政や行政組織(統治機構)の検討は、これからの私たちの生活に深くかかわることがらであり、今後ますます重要になっていくものと考えています。今回の二つの受賞を励みとして、今後とも研究に邁進し、精進して参りたいと思います。

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