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2012年夏期卒業式 日比谷潤子学長式辞

公開日:2012年6月29日

学士号を授与された教養学部卒業生、さらに研究を深め修士号・博士号を取得なさった大学院修了生のみなさん、おめでとうございます。ご家族、関係者の方々にも、心よりお祝い申し上げます。

私は約90日前に学長に就任しました。最初の入学式式辞では、本学の学生は、「学生宣誓」によって名実ともにICUという共同体の構成員となり、教職員と ともに大学の未来を作っていくのだと強調しました。私は、みなさんがこの宣誓の意味を真剣に考え、本学での勉学や課外活動に励むことで、大学の使命と理想 の実現を目指してきたと確信しています。

知識の基盤と学問の方法が拡大を続ける今日、卒業と同時に学修が終わると想定する人はいないでしょう。21世紀の高等教育は、刻々と変化する世界の課題に 応えうる人材を育成するため、生涯にわたり学び続ける力を涵養しなければなりません。このような力があれば、生産的で実り多いキャリアに就き、責任ある地 球市民となることができます。みなさんは、本学の教育によって、以下の資質を身につけたものと願っています。まず、ここでの学術的訓練を基礎に、創造的か つ独立した学修の道程を、自ら計画することができるはずです。次に、文章記述力と口頭表現力を駆使して、効果的なコミュニケーションがはかれます。常に批 判的に思考し、問題を発見し解決する力を有しています。最後に、文理を問わず知識を統合し、理論を現実の世界に生かすことができます。これらの時代を超え て有益な資質は、みなさんの人生の土台となり、一生を通じて力を与えてくれるでしょう。

私どもがこのチャペルに集まっている今、世界には、一日一日をかろうじて生きている人々、小学校にも満足に行けない人々が無数にいることを、決して忘れてはなりません。

すべての人々が恐怖や欠乏に苦しむことなく平和に生きられる世界の実現に向けて、みなさんが果たすべき役割は、人によって異なります。ここで過ごした数年間は、一人ひとりが自らに与えられた使命を見出すための期間でした。

私ども教職員は、みなさんの可能性を最大限に引き出すような学修環境を創出・維持しようと努めてきました。教員は学問分野の地平を切り拓くために研究に従 事し、一方、学生は新知識が生み出される過程に積極的に参加することにより学びます。つまり、学生と教員はともに知の探究に参画するのです。みなさんが、 ICUで得た何かによって自己を変革・定位し、ここでの多様な経験を通して自分の使命を見つけたとすれば、それは私どもの誇りです。

今日の世界は、相互に強く結びついています。地球上のすべての人々が、互いについて学び合い、コミュニケーションを図ろうとします。このような世界を生き 抜くにあたり、高等教育を受けた人々は母語以外に少なくとも1つ、望むらくは2つまたはそれ以上の言語を習得しなければなりません。ICUにおける日本 語・英語のバイリンガル環境は、21世紀の教育が提供すべき重要な特質を提供するものです。みなさんの世代が働く職場のほとんどは、単一言語環境ではない でしょう。そこでは背景の違う人々を受容し、誰の母語でもない言語を用いて交渉する能力が求められます。構成員間の差異が尊重される本学での生活は、みな さんが異なる背景を持つ人々とともに共通の目標に向かって進み多様性を肯定する力を身につけるうえで、役立ったのではないでしょうか。

ICUの教育は、学生が、教室の中だけでなく社会に出て学修する姿勢を奨励してきました。私どもを取り巻くコミュニティは、重要な学びの実験場です。これ からは市民としての務めを果たし、人道的な価値観を広め、公正な社会を維持するため、学びと奉仕の一体化によって、みなさんが自らの義務を遂行する番です。

「求めよ、捜せ、門をたたけ。」情熱に従い、みなさんが受けた教育をよく用いましょう。入学時に宣誓したとおり、世界人権宣言の原則に立って、人生を送るように。そして、いつか、ここに戻って、ICUを出てから何を成し遂げたか、私どもと分かち合ってください。

幸運を祈ります。神の祝福が豊かにありますように。

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