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2012年秋季入学式 日比谷潤子学長式辞

公開日:2012年9月1日

「多く与えられた者からは多く求められ、多く任せられた者からは更に多く要求されるのである。」
(ルカ12章48節b)

新入生のみなさん、ご入学おめでとうございます。この式の模様をご覧になっているご家族・ご友人の方々にも、心よりお祝いを申し上げます。

ICUは国際協力の下、1953年に献学されました。したがって、来年60周年を迎えます。この60年間、私どもは人類の平和と共存に貢献できる責任ある地球市民を育成してきました。大学の使命を実現するため、多様な地理的・文化的・教育的背景を持つ学生の受け入れを重視しています。みなさんには、キャンパスの生活を豊かにすることが期待されているのです。

知識の基盤と学問の方法が拡大を続ける今日、高等教育は、刻々と変化する世界の課題に応えうる人材を育成するため、生涯にわたり学び続ける力を涵養しなければなりません。このような力があれば、生産的で実り多いキャリアに就き、責任ある地球市民となることができます。みなさんには、本学の教育によって、以下の資質を修得してほしいと願っています。まず、ここでの学術的訓練を基礎に、創造的かつ独立した学修の道程を、自ら計画することができるようになります。次に、文章記述力と口頭表現力を駆使して、効果的なコミュニケーションがはかれます。常に批判的に思考し、問題を発見し解決する力を身につけます。最後に、文理を問わず知識を統合し、理論を現実の世界に生かすことができるでしょう。これらの時代を超えて有益な資質は、みなさんの人生の土台となり、一生を通じて力を与えてくれます。

これから行われる「学生宣誓」 では、国連総会決議により1948年に採択された世界人権宣言の原則に立ち、それに従って大学生活を送ることを誓約します。入学式に先立って行われたリハーサルで、学生部長の清水勇二先生から、学生宣誓の歴史や意味について説明を受けたと思いますが、この宣誓によって、みなさんは名実ともにICUという共同体の構成員、私ども教職員と一緒に、この大学の未来を作っていく仲間になります。

私どもがこのチャペルに集まっている今、世界には、一日一日をかろうじて生きている人々、小学校にも満足に行けない人々が無数にいることを、決して忘れてはなりません。このような現状は、世界人権宣言の精神 に反するものです。

世界人権宣言の第1条には、「すべての人間は、生まれながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等である。」と謳われています。大学教育を受けられるのは、大きな恵みです。この機会を無駄にせず、ICUでの勉学や課外活動をとおして、すべての人が恐怖や欠乏に苦しむことなく生きられる世界を実現するには何をすればいいか、よく考えてください。そのために果たすべき役割は、人によって異なるでしょう。私たちは一人ひとり、みな違います。神がそれぞれに、他の人とは異なる「賜物」を与えてくださったからです。自分の賜物は何か、これを意識することにより、自らに与えられた使命を自覚できるようになります。これからの数年間は、この使命を見出すための期間です。

世界人権宣言第1条にはまた、「人間は理性と良心とを授けられており、互いに 同胞の精神をもって行動しなければならない。」とも記されています。これから 始まるICUでの生活では、多様な人々に会うでしょう。さまざまな出会いの中から、自分とは異なる他者を理解し、それによってあらためて自己を認識し、さらに他者とのつながりを深めていってください。この大学には、自己と他者の支え合いを通じて、「互いに同胞の精神をもって行動する」経験を積む機会が、たくさんあるはずです。

初めに私は、「ご入学おめでとうございます」と申し上げました。これは、本学 に合格したことや今日入学式を迎えたことに対するお祝いではありません。既に「多く与えられ」、やがて「多く任された者」となる、その第一歩を踏み出したことへの祝福です。「多く求められ」、「更に多く要求される」時に備えて、こ のICUでの一日一日を、どうぞ大切に過ごして下さい。特別な恵みを与えられた みなさんに、あらためて言います。入学、おめでとう。

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