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2013年秋季入学式 日比谷潤子学長式辞

公開日:2013年9月4日

新入生のみなさん、ご入学おめでとうございます。ご家族の方々にも、心よりお祝いを申し上げます。本日の新入生の出身地域は、30余国に及びます。

ICUは国際協力のもと、国際文化と理解への実験場としての国際社会を学内に実現し、世界共同体の可能性を立証するため、ちょうど60年前に献学されました。多彩な教育的・文化的背景を持つ9月生には、新しいグローバル時代の挑戦を解決するための多様で革新的な方法を提供することにより、キャンパスの生活を豊かにすることが期待されています。

みなさんは「ミレニアム開発目標(Millennium Development Goals: MDGs)」を知っていますか。これは、2000年に開催された国連ミレニアムサミットで出された「ミレニアム宣言」と、1990年代に主要な国際会議やサミットで採択された国際開発目標を統合し、共通の枠組みとしてまとめたものです。2015年までに8つの具体的な目標を達成することを目指しています。ゴール1は「極度の貧困と飢餓の撲滅」です。

続くゴール2は「普遍的な初等教育の達成」で、「2015年までにすべての子どもが男女の区別なく初等教育の全課程を修了できるようにする」ことが、具体的な目標です。ユネスコが毎年発行しているレポート(Education for All Global Monitoring Report)の2012年度版によると、2010年に学齢期で小学校に通っている子どもの割合は全世界で91%、低所得国で81%、サハラ以南のアフリカで77%でした。2015年は再来年に迫っていますが、この地球上でいまだに小学校に通えない子どもは、10人に1人、その割合は、サハラ以南のアフリカではさらに悪く、4人に1人なのです。みなさんの中には、高等教育機関への進学を当然と思っている人もいるかもしれません。しかしながら現実には、初等教育を受けることさえ諦めなければならない人がたくさんいることを、忘れてはなりません。

みなさんはこれから、「学生宣誓」を行います。この「宣誓」では、世界人権宣言の原則に立ち、それに従って大学生活を送ることを誓約します。1953年の4月、最初の入学式に出席した本学1期生も、みなさんと同じように、一人ひとり紹介され、誓約書に署名しました。以来60年間にわたり、「学生宣誓」は毎年必ず行われています。

世界人権宣言の第1条には、「すべての人間は、生まれながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利について平等である。」と謳われています。先ほども言ったように、世界には小学校さえ満足に行けない人々がたくさんいますが、このような現状は、この条項の精神に反するものです。大学や大学院で学ぶという大きな恵みを与えられたみなさんは、この特別な機会を無駄にせず、ICUでの勉学や課外活動をとおして、すべての人が恐怖や欠乏に苦しむことなく生きられる世界を実現するには何をすればいいか、よく考えてください。

「ミレニアム開発目標」には、さらに、「ジェンダー平等の推進と女性の地位向上」、「乳幼児死亡率の削減」、「妊産婦の健康の改善」、「HIV/エイズ、マラリア、その他の疾病のまん延防止」、「環境の持続可能性の確保」、「開発のためのグローバルなパートナーシップの推進」の6つのゴールが掲げられています。ICUでは、物事を多角的な視点から見つめ、それらを注意深く論理的、批判的に分析する能力の習得が求められます。みなさんは、このような力を身に付け、地球市民として、ぜひこれらのゴールの達成に寄与してください。

世界人権宣言第1条にはまた、「人間は理性と良心とを授けられており、互いに同胞の精神をもって行動しなければならない。」とも記されています。みなさんはこれからこのキャンパスで、さまざまな人々に会うでしょう。異質な他者との出会いの中で、あらためて自己を認識し、自己と他者を新たな関係に位置づけ直すという体験をするに違いありません。

先ほど私は、大学や大学院で学ぶことは大きな恵みだと言いました。今日の式の冒頭では、ルカによる福音書12章48節の一部が朗読されましたが、ここにいる一人ひとりは、既に多く与えられているのです。みなさんの先を歩んだ卒業生は、多く任された者となり、更に多くの要求に応えています。その後に続けるよう、ICUでの一日一日をどうぞ大切に過ごしてください。これからの数年感間が実り多いものとなることを祈ります。

2013年9月3日
学長 日比谷潤子

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