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2014年 夏季入学式 日比谷潤子学長 式辞

公開日:2014年6月27日

「求めよ、そうすれば、与えられるであろう。捜せ、そうすれば、見いだすであろう。門をたたけ、そうすればあけてもらえるであろう。すべて求める者は得、捜す者は見いだし、門をたたく者はあけてもらえるからである。」マタイによる福音書7章7−8節 

教養学部卒業生、大学院博士前期課程、後期課程修了生のみなさん、おめでとうございます。ご家族、ご親戚、ご友人の方々にも、心よりお祝いを申し上げます。

ICUは今から61年前の1953年にキリスト教と世界人権宣言の精神に基づいて献学されました。当時も今も、大学を設置する際には認可が必要で、新しい大学の趣旨・目的、教育課程、教員組織、施設設備等を詳述した申請書類を作成して文部科学省に提出し、審査を受けます。本学が1952年10月に文部省(当時)に提出した「大学設置認可申請書」には、大学の「目的及び使命」が、次のように表明されました。

「国際基督教大学は、基督教の精神に基づき、自由にして敬虔なる 学風を樹立し、国際的教養と社会人としての良識とを有する指導的人材を養成することを目的とする。
本学は国際的協力に依り設置せらるるものであり、その名称の示す如く基督教精神、国際親善並に民主主義を強調し、
下記各項を強調重視する『明日の大学』たらんとすることを期する。」

これに続けて「強調重視する」項目が合計12列挙されています。その中には、今のキャンパスの状況にはあてはまらないものもないわけではありませんが、そのほとんどは、60年間脈々と受け継がれてきました。例えば、「教育に精進し、たえず批判と評価を通してその進歩改善に努力する」、「教授は本邦のみならず、広く世界各国に亘ってこれを求め すべて基督教徒にして学識人格共に卓越せる学者、教育者をもってこれに充てる」、「学園内にコミュニティ・チャーチを設け、宗教生活の徹底をはかり、基督者的人生観と世界的エトスの確立を期する」といったことは、ICUが現在も変わることなく守り続けているものです。  

12項目の第1は「学問の自由を操守し、綜合研究を奨励する」、第2は「独立の思索能力と科学的批判力の涵養に勤める」、第4は「実社会との生きたる連携を保ち、高速なる真理が民主社会の原動力となることを謀る」、です。先ほどみなさんは一人ひとり学位記を受け取りましたが、現在の教養学部は、学士の学位を授与される者が身につけているべき能力として、「文理を問わず多様な知識を統合し、実践の場で活用する能力」、「自他に対する批判的思考力を基礎に、問題を発見し解決していく能力」を挙げています。ICUは学修の場を、教室の中に限定することなく、自然と文化遺産に恵まれたこのキャンパスの外にも求め、実践の現場に出ることを強く奨励してきました。在学中にフィールドトリップやサービスラーニングに参加したことによって、個別の学問分野の中にとどまることなく、複数の領域の交流と統合の力を養うことの重要性に気付いた人は、決して少なくないでしょう。また、語学教育プログラムから論文作成までの全教育課程を通じて、物事を多角的な視点から見つめ、それらを注意深く論理的・批判的に分析する力を身に付けることを重視しています。  

「大学設置認可申請書」の7番目の項目には、「日英両語を学園用語として国際的学園生活を実現する」と謳われていました。ICUは開学以来、教育研究から日常生活に至るまでのあらゆる場面において、日本語/英語のバイリンガリズムを堅持しています。今日の卒業生の多くは9月生として1年次にJLPの学びに集中し、その後は一般教育科目/専門科目の履修を積み重ねることによって、ディプロマ・ポリシーの掲げる「日英両語で学び、世界の人々と対話できる言語運用能力」と「効果的な文章記述力とコミュニケーション力に基づく説明能力」を修得したはずです。みなさんがこれから社会人として活動する時にとりわけ重要なのは、自分の知識や考えを背景や専門を異にする人にもよく理解できるように伝える力、相手の問いかけに適切に答え、意味のある議論を展開する力です。このことを21世紀の世界で地球市民の一人として実践していくためには、日本語/英語は当然として、「2+1」、つまりさらにもう1つの言語が求められることも少なくないでしょう。在学中に「世界の言語」で、3つ目、あるいは4つ目の言語を履修した人は、卒業後もぜひ学び続けてください。これまで機会がなかった人は、社会に出てから、ぜひ新たな言語に挑戦してください。

現在のディプロマ・ポリシーが第1に挙げているのは、「学問の基礎を固め、自発的学修者として主体的に計画を立てつつ、創造的に学んでいく能力」です。みなさんがこれから活動する社会は、常に拡大し越境しています。時々刻々と変化する地球規模の課題に応えていくためには、自ら進んで学修を計画し、生涯にわたって学び続ける姿勢を持ち続けなければなりません。Commencementということばが示すとおり、今日の式は終わりではなく、新たな学びの出発点です。どうか、この大学で受けた教育を活かして、自分自身の力で学びの道を開拓し続けていってください。

修士の学位は、広い視野に立って深い学識を持ち、専攻分野における研究能力、またはこれに加えて高度の専門性が求められる職業を担うための卓越した能力を身に付けた者に与えられます。さらに博士の学位は、専攻分野について自立して研究活動を行い、またはその他の高度に専門的な業務に従事するに必要な研究能力およびその基礎となる豊かな学識を身に付けた者に対して授与されます。本学大学院からそれぞれの世界に旅立っていくみなさんには、その高い専門性を活かして、21世紀の知識基盤社会を先導していくことが期待されています。  

今日の式辞では、最初に本学の「大学設置認可申請書」から「目的及び使命」の一部を読んでみました。繰り返しますが、ICUの目的は、「国際的教養と社会人としての良識とを有する指導的人材を養成すること」にあります。ここに集められ学位期を受け取ったみなさんは、学士/修士/博士の段階で学位授与の方針に定められた力を十分に身に付け、それぞれの分野で「指導的人材」となるスタートラインに立っています。みなさんに備えられた道は、人によって異なるでしょう。冒頭の聖書朗読箇所のとおり、「求めよ」、「捜せ」、「門をたたけ」。そうすれば、必ず一人ひとりに最もふさわしい道が与えられます。みなさんの行く手に神の豊かな祝福があることをお祈りしています。

2014年6月27日
学長 日比谷潤子

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