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2016年春季卒業式 日比谷潤子学長 式辞

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教養学部卒業生、大学院博士前期課程、後期課程修了のみなさん、おめでとうございます。ディッフェンドルファー記念館のスクリーンで、この式をご覧になっているご家族、ご親戚、ご友人の方々にも、お祝いを申し上げます。

私は今月前半、日本国際基督教大学財団(Japan ICU Foundation:JICUF)の理事会に出席するため、ニューヨークに行ってきました。財団は、大学と協力して国際性と基督教精神を育むことを使命に掲げ、学生のための奨学金や教員交換プログラム・グローバルプログラムの助成、キャンパス諸施設の建設や改築への資金援助等、さまざまな支援をして下さっています。

滞在中に、財団の理事/職員に少数の関係者も加わって夕食会があったのですが、そこで私はある国連職員にお目にかかりました。この方との会話の中で、昨年の9月25日に開催された国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が話題になりました。このアジェンダには、2030年までに達成すべき「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)」が含まれています。これは、私が数年前に入学式の式辞で触れた「ミレニアム開発目標(Millennium Development Goals: MDGs)」を引き継ぐもので、策定には、ICUの教員も参画していました。

2000年に採択された国連ミレニアム宣言をもとにまとめられたミレニアム開発目標は、2015年までに達成すべき8つの目標を設定しました。これまでに子どもの死亡率削減、小学校の就学率向上などには改善がみられましたが、依然として対応が必要な課題も残っています。さらに、経済危機、自然災害、伝染病等によって世界情勢がますます複雑化するなか、新たに顕在化してきた問題もあります。その結果、地球全体の発展のために2030年までに達成を目指す持続可能な開発目標は合計17となり、貧困、飢餓、不平等を完全になくすこと、ジェンダー平等の実現、医療と教育へのアクセス改善、持続可能な消費、技術革新、気候変動と環境に対する対策、すべての人に対する平和と公正等、一層意欲的な項目が盛り込まれています。

本日の教養学部卒業生の多くは、2012年4月にICUに入学しました。先ほどルカによる福音書の一節が朗読されましたが、4年前の入学式と同じ箇所だったことに気が付きましたか。本日の式には、大学院修了生、また2012年4月以外に入った学部卒業生もいますが、あの日、私は二つのことをお話ししました。

第一に、入学者選考にあたって志願者一人ひとりを大切なゲストとして迎えるという本学の伝統を紹介したうえで、入学式を区切りにゲスト/お客さんではなくなること、学生宣誓によって名実ともに国際基督教大学という共同体の構成員となることに触れ、自らの主体な関わりによって、私ども教職員とともに大学の未来を作っていってほしいとお願いました。第二に、世界には小学校すら満足に終えられない人も多数いるなか大学教育を受けられるのは大きな恵みであり、大学/大学院時代は、一人ひとりが神から与えられた賜物を意識し、すべての人が恐怖や欠乏に苦しむことなく生きられる世界を実現するには何をすればいいか、自らの使命を見出す期間だとお話ししました。卒業にあたり、本学での日々を振り返ってみてください。みなさんはこの大学の歩みに何を書き加えたでしょうか。また自分がなすべきことを見つけたでしょうか。

持続可能な開発目標を達成するには、政府だけでなく、民間、市民社会、そして私たち全員の積極的な参加が強く求められています。この目標に関して、日常生活の中で誰もがすぐに実行できるアクションを列挙した国連のウェブサイトがあります。国連にはユーモア溢れるスタッフがいらっしゃるようで、このリスト、The lazy person's guide to saving the world と名付けられています。みなさんもぜひ見てみてください。本日の式辞は一両日中に大学ウェブサイトにアップするので、そこに情報を掲出しますが、レベル1は Things you can do from your couch で、Sofa superstar なるキャラクターが文字どおりソファに寝そべっているイラストとともに、11の項目が挙がっています。レベル2は Things you can do at home で Household hero がゴミを出しているイラスト、続くレベル3は Things you can do outside your house で Neighborhood nice guy が自転車に乗っているイラストです。本学卒業生/修了生は、もちろん lazy ではありませんから、地球全体の発展のために、さらに積極的な取組が期待されます。

大学や大学院で教育を受けるという恵みを与えられ、これまで真摯に学ぶことを求められてきたみなさんは、今日本学での学生生活を終え、ここから巣立っていきます。どのような分野に進んでも、「持続可能な開発のためのアジェンダ」の達成期限となっている2030年には、多く任されているはずです。そうしたら、更に多く要求されるのです。学びは卒業したら終わりではありません。むしろ本格的に始まるのは、社会に出てから、更に多く要求されるようになってからです。みなさんはここで自発的学修者として主体的に計画を立てつつ、創造的に学んでいく能力を身につけました。これからの進路はさまざまでしょうが、一人ひとり自分自身の力で道を切り拓き、責任ある地球市民としての道を歩んで行ってください。みなさんの行く手に神の豊かな祝福があることをお祈りしています。

国連ウェブサイトURL: http://www.un.org/sustainabledevelopment/takeaction/

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