NEWS

NEWS

2016年度春季入学式 日比谷潤子学長 式辞

公開日:2016年4月4日

「求めよ、そうすれば、与えられるであろう。捜せ、そうすれば、見いだすであろう。門をたたけ、そうすればあけてもらえるであろう。すべて求める者は得、捜す者は見いだし、門をたたく者はあけてもらえるからである。」マタイによる福音書7章7−8節



教養学部、大学院博士前期課程・後期課程新入生のみなさん、ご入学おめでとうございます。ディッフェンドルファー記念館で、この式をご覧になっているご家族、ご親戚、ご友人のみなさまにも、心よりお祝いを申し上げます。

4年後の2020年、本日教養学部に入学したみなさんが卒業する年に、東京で2回目のオリンピックが開催されることになりました。私は1回目のオリンピックが開催された1964年の4月に、小学校に入学しました。抜けるような青空のもと、10月10日に行われた開会式のことは、今でもよく覚えています。その頃、日本の4年制大学(学部)進学率は、15.5%でした。ちょうど40年前の1976年、私が高校を卒業して大学に入った年は27.3%、そして2009年に初めて50%を超え、一昨年と昨年は51.5%になっています。つまり、今の日本では、ほぼ2人に1人は大学に行くわけです。

カリフォルニア大学バークレー校の教授だったマーティン・トロウは1970年代に、この大学進学率に着目して、高等教育システムの変化を15%までのエリート型、15%以上50%までのマス型、50%以上のユニバーサル型の三つの段階に分けました。このモデルによれば、現在の日本の高等教育は、ユニバーサル段階に入って数年を経過したところです。トロウの考えでは、ユニバーサル型のシステムにおいては、高等教育へのアクセスは開放的であり、進学は個人の選択意思によるとされています。

このような時代に学生生活を送ることになるみなさんの中には、大学、とりわけ学部に進むのは、ある程度当然と思っている人もいるかもしれません。しかし現実には、経済的な困難等、さまざまな事情で進学を諦めざるを得ない人も少なくありませんし、昨今の世界情勢からも明らかなとおり、大学以前のずっと早い段階で学校教育を受けられなくなってしまう人々も、残念ながら、たくさんいます。幸運にもこれまで教育を受け、さらに高等教育機関に進学するみなさんには、一体何が求められているのでしょうか。

みなさんが今日入学した国際基督教大学の第一の特徴は、構成員一人ひとりをかけがえのない存在ととらえ、個として大切にするところにあります。毎年4月と9月の入学式、3月と6月の卒業式で、先ほどのように学生全員の名前を呼んで一人ずつ紹介するのは、その具体的なあらわれの一つです。この慣行は、最初の入学式以来、60年以上にわたり営々と受け継がれてきました。

教養学部1年生のみなさんは、数ある大学の中から進学先を選ぶ過程において、このチャペルの入り口の扉が表紙になっている『2016入学案内』を手に取ったことと思います。この中の「4年間の学び」の説明にも、「学生の数だけ学びの形がある。個を大切にするICUには、等しくすべての学生に同じカリキュラムは存在しません。」(62ページ)と書いてありますが、本学の教育の基本は、自発的学修者として、生涯を通じて創造的に学ぶ能力を涵養することです。

この入学式、それに続くオリエンテーションを経て、来週にはいよいよ授業が始まりますが、これからどのような行程をたどって学士号取得、つまり卒業に至るかは、一人ひとりの自由な意志と主体的な選択に任されています。何をどのように学んでいくのか、どのメジャーを選ぶのか、英語以外の外国語を新たに勉強するのか、在学中に留学するのか、勉学と課外活動をどのように両立していくのか、すべて決めるのは、他の誰でもない、みなさん自身です。先ほどマタイによる福音書の一節が朗読されましたが、無数にある可能性の中から自らの進むべき道を見つけ出すには、積極的に求め、捜し、門をたたく姿勢が欠かせません。「すべて求める者は得、捜す者は見いだし、門をたたく者はあけてもらえるから」です。

学士課程ではそれぞれの専門性を深めることももちろん重要ですが、どのようなメジャーに進んだとしても、この大学に在籍する間に、個別の分野を横断する能力として、問題を発見しそれを解決する力、相手の問いにじっくり耳を傾けそれに適切に答えることのできるコミュニケーション能力、異文化の理解、チームワーク、リーダーシップ、高い倫理観、地球市民としての責任観を、ぜひ養ってください。

これから博士前期課程の学びを始めるみなさんには、広い視野に立って深い学識を持ち、それぞれが専攻する分野における研究能力、または専門性が必要とされる職業に就くための力を身につけることが求められます。さらに博士後期課程に進むみなさんは、豊かな学識を基礎に、研究者として自立するため、またはきわめて専門的な業務に従事するための卓越した能力を修得しなければなりません。大学院においても、求め続け、捜し続け、門をたたき続けてください。

ICUは、国際的社会人としての教養をもって、神と人とに奉仕する有為の人材を養成することを目的として、1953年に設立されました。みなさんが教養学部、博士前期課程・後期課程で、これまでお話ししてきたような力を身につけるのは、神と人とに奉仕するため、別の言葉で言うと、自分に与えられた使命を果たすことによって他者や世界に貢献するためです。これからの4年間、大学院の場合は2〜3年間に、社会のなかで、また世界のなかで、自分は何をすべきか、日々の勉学やさまざまな活動をつうじて、課せられた役割を、ぜひ見出してください。実り多い日々であることをお祈りしています。ご入学おめでとう。

ページTOP