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本学の早間良輔特任助教の論文がEMBO Journalに掲載されました

公開日:2017年3月22日

本学の早間良輔特任助教(メジャー:生物学)の論文、' PSEUDO RESPONSE REGULATORs stabilize CONSTANS protein to promote flowering in response to day length'が、EMBO(欧州分子生物学機構)の公式誌であるThe EMBO Journalに掲載されました。

研究内容

高緯度地方に生息する地上生物は季節推移にともなう急激な気候の変化に適応するため、日々変化する日の長さを測り現下の季節を認識しながら生息する。植物の開花、花芽形成が温和な季節に起こることは一般的に知られているが、このような現象も植物固有の日長認識能力によるものである。生物は昼・夜といった光環境情報を体内時計と照合し日長を測定するが、植物においては光情報がどのような内部機構により体内時計へと繋がっているのかは明らかではなかった。

本研究では、光情報を体内時計へと伝達する特定のタンパク質をシロイヌナズナから発見した。このタンパク質はPSEUDO RESPONSE REGULATOR(PRR)と呼ばれ、計時機構内のCONSTANS(CO)と呼ばれるタンパク質と結合した。さらに、花成ホルモンとして知られているフロリゲンの遺伝子発現をCOと協調しながら調節する副次的な役割も発見された。PRRタンパク質はオオムギやイネ、その他多数の作物においても以前から発見されていたが、本タンパク質の具体的な役割は長いあいだ不明であった。

今回、PRRタンパク質が日長測定と季節の認識、ならびに花成時期の調節に関与することを明らかにしたことにより、今後は様々な作物における農的性質の改良が可能になると期待される。

コメント

今回発表した研究は、光情報を体内時計へと伝達する植物の分子機構の解明を目指すといった純粋な基礎科学的な目的により行ったものです。この機構に関わる因子の候補を色々と考え、「これではないか」と思うものを選び関与を証明していきました。

個々の生物は非常に多くの遺伝子を持ちますが、遺伝子同定が一般的に進んでいなかった15年、20年前において、限られた既知遺伝子から候補を選び関与を証明していくといった手法は余りにもリスクが高く、このような事をする研究者はほとんどいません。しかしながら、遺伝子同定と機能解析が大幅に進歩した現在においては、こういった手法をとる研究者も多くなりつつあります。

ただ、たった一つの遺伝子の機能を解析することにも多大な時間、労力(とお金)が嵩むことは今も変わることはなく、このような手法は現在においてもリスクが大きい、あるいは純真でないと敬遠される研究者も数多くいらっしゃいます。私もそういった研究者の一人ですが、本研究においては興味本位からリスキーな手法を選び、7年という歳月をかけて関与を証明していきました。「やるべきではなかったかな」と思う事も幾度とありましたが、最終的には期待していた結果が得られ、今は胸を撫で下ろしているところです。

当研究は私がドイツ・マックスプランク研究所に勤務している間に行い、研究期間中は非常に多くの方々にお世話になりました。本論文の共同研究者である研究所勤務のLiron Sarid-Krebs氏、Virginia Fernandez氏、Rene Richter氏、並びに私のボスであったGeorge Coupland氏には特にこの場をお借りして感謝申し上げます。

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