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国際シンポジウム「アジアにおけるサービス・ラーニングの未来―ネットワーキングのための地域対話」を開催

2022年7月14日

国際シンポジウム「アジアにおけるサービス・ラーニングの未来―ネットワーキングのための地域対話」を開催しました。

本学サービス・ラーニング・センターは、サービス・ラーニング・アジア・ネットワーク(SLAN)とサービス・ラーニング・センター(SLC)の20周年を記念して、2022年7月2日に東ヶ崎潔記念ダイアローグ・ハウスおよびオンラインのハイブリッド方式で国際シンポジウムを開催しました。オンラインでは100名を超える申し込みがあり、国際会議場には、歴代センター長やコーディネータを含む本学関係者が集いました。

最初に岩切正一郎学長からSLAN20周年に当たり祝辞があり、続いてサービス・ラーニング・センター長の西村幹子教授より、「ICUのサービス・ラーニングの過去・現在・未来―アジアのパートナーとのネットワークから何を学んだか」と題した講演が行われました。その後、東アジア、東南アジア、南西アジアを代表して、Carol Ma准教授(元香港・嶺南大学SLAN事務局、現シンガポール社会科学大学准教授)、Betty McCann教授(フィリピン・シリマン大学学長)、Mercy Pushpalatha教授(元インド・レイディドーク大学学長)より今後のアジアのサービス・ラーニングについてコメントがありました。また、他地域を代表して、サービス・ラーニングの専門家であるTim Stanton氏(元スタンフォード大学・ハ-ス公共サービス・センター長)およびFlorence McCarthy氏(元コロンビア大学准教授・国際基督教大学サービス・ラーニング・アドバイザー)より、未来に向けた提言を頂きました。その後、オンラインと会場より質疑応答が行われ、最後にロバート・エスキルドセン副学長より閉会の挨拶がありました。総合司会はサービス・ラーニング・コーディネータの横手仁美氏が務めました。オンライン参加者にはアジア地域内外の専門家が多く参加し、活発な議論が行われました。

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議論は主に、ネットワークとして今後どのようにサービス・ラーニングを展開していくか、教授法として何を改善できるか、サービス・ラーニングの制度化の課題に集約されました。今後の展開としては、(1)20年間に飛躍し多様化したアジア地域のサービス・ラーニングの経験の体系的な共有(2)アジア地域のテーマごとのサービス・ラーニング・プログラムの共同開発と実施(3)新型コロナ感染症や気候変動などの影響で変化の激しい時代における新たな形のサービス・ラーニングのあり方の模索が提言されました。

教授法に関しては、(1)サービス・ラーニングの過程においていかに個人的、学術的、社会的に批判的な問いを立てることができるか(2)教授法を社会的なインパクトや社会構造的な課題にいかに結びつけることができるか(3)継続的な振り返りのループを発展させることにより生涯学習者を育成する方法を確立できるかが重要だと論じられました。

さらに、制度化には、大学の使命とのリンクが重要であること、種類と方法を複数もっておくこと、教育・研究・社会的貢献という3つの大学の社会的役割を有機的に結びつける大枠の構想をもつこと、大学教員の変革を目指した訓練の機会の必要性などが確認されました。