スーパーグローバル大学
創成支援事業
「グローバル・リベラルアーツ」
モデルの確立
「世界に通用する国際性」を高めるため、
ICUは献学時から継続的に様々な取り組みを行ってきました。
Ⅲ. さらなる国際化
2014
GLAAへの加盟
Global Liberal Arts Allianceに、日本の大学として初めて加入
Ⅳ. ガバナンス
2014
スーパーグローバル大学創成推進室の設置
学長のリーダーシップの下に事業の進捗を管理、推進できる体制を構築
Ⅲ. さらなる国際化
2016
海外修士5年プログラム開始(Accelerated Entry Program)
協定大学の大学院、ミドルベリー国際大学院モントレー校と提携し、学士・修士5年プログラムを展開。
Ⅱ. 教育力向上
2017
樅寮・楓寮の開設
キャンパス内の学部生寮は10棟となり、学生寮の収容定員がおよそ900名となった。
Ⅳ. ガバナンス
2020
職員のTOEIC800点以上6割超え
自主的に行う学びへの支援、国内外での研修、TOEIC/IELTSの受験支援を通じ、目標を上回る数値を達成。
Ⅳ. ガバナンス
2014
新テニュアトラック制度開始
ICUに相応しい教員を育成するためのテニュア・トラック制度を導入。異分野の先輩教員によるメンター制も開始。
Ⅱ. 教育力向上
2015
学修・教育センター(CTL)設置
多様化する学生と教員に対応するために、学修支援の機能と教育支援の機能を併せ持つ支援のハブとして誕生
Ⅰ. 教育改革
2017
ユニヴァーサル・アドミッションズ導入
1955年以来海外からの入学者を受け入れてきた9月入学選考に追加・発展させる形で、多様化する学生に合わせた新たな入学選抜制度を導入。
Ⅱ. 教育力向上
2019
THE世界大学ランキング日本版 私大1位
私立大学総合1位、全国総合11位を獲得。「国際性」分野での評価は97.6%を達成。2023年度は全国10位
Ⅱ. 教育力向上
2023
ICU国際サマープログラム開始
旧夏期日本語プログラムを改編して開始。語学学習と、日本を様々な側面から学ぶオムニバス学習で構成。
2024
現在
(事業期間2014年10月~2024年3月)
ICUが行ってきた取り組みの詳細を4つのカテゴリに分けてご紹介します。
Ⅰ. 教育改革
世界に開かれた学生受入制度の構築
Ⅱ. 教育力向上
学生と教員の統合的な支援体制の構築
Ⅲ. さらなる国際化
グローバル・リベラルアーツモデルの構築
外国の教育制度で
教育を受けた志願者
どのような背景の学生も受け入れるユニヴァーサルな受入制度
日本語が第一言語の学生は4月入学で日本語を使って受験する、英語が第一言語の学生は9月入学で英語を使って受験する、という従来の考え方から、母語が必ずしも日本語でも英語でもない留学生が、日本語で4月でも9月でも受験できる、外国籍の学生が4月入学できる入学者選抜制度を新たに導入したことは、ICUにとって大きな変革でした。多様なバックグラウンドを持つ学生の入学を受け入れるための、ユニヴァーサル・アドミッションズ。海外リクルーティングも重点地域を定めながら注力した結果、学部本科留学生数の増加として実を結びました。(参考:ICUの入試について)
一人ひとりの背景に応じた
語学教育プログラムの整備
ICUが重視する語学学修の機会をきめ細やかに
リベラルアーツ英語プログラム(ELA)終了後も英語運用能力を伸ばせる上級科目に、TOEFL、プレゼンテーションに加え、IELTS対策講座を新設。すでに英語力の高い9月入学生が学術論文作成力を補う科目は、入学時期に関わらず履修できるよう日本語教育プログラム(JLP)履修者にも門戸を広げました。さらに大学院生のための学術英語のコースも2016年より追加で開設しました。 JLPでは、4月入学者のうち帰国生やユニヴァーサル・アドミッションズにより入学した国際学生など英語上級者を対象にJLP科目の履修を可能にし、日本語運用力を高める機会が与えられるようになりました。さらに、バイリンガル・リベラルアーツ教育の土台である日本語と英語の他、「世界の言語」として開講していたドイツ語、フランス語、ロシア語、スペイン語、中国語、韓国語の6言語に、アラビア語、イタリア語、インドネシア語の3言語を新たに加え、語学教育プログラム全体の拡充をはかりました。
英語による卒業論文執筆率
「英語で学ぶ」と「英語で書く」を支援する取り組みの拡充
本事業の前身の「経済社会の発展を牽引するグローバル人材育成事業」(2010-2015)で始めた「英語開講専門科目履修を通じた情報発信能力(ライティング)の涵養」の取組を発展させるため、リベラルアーツ英語プログラムの発展科目として自然科学分野の論文作成のための科目を新設し、さらに社会科学分野の論文作成のための科目も開設しました。さらに、英語開講科目の開講増に加え、卒業に必要な英語開講科目の履修単位数を9 単位 から30 単位まで大幅に引き上げました。こうして英語で学び、書く機会を増やすと同時に、学修・教育センターでのプルーフリード・サービスも2016年に開始し、支援を厚くしながら英語による卒業論文執筆率の向上を目指しました。
英語開講科目の割合
英語開講科目を増やし、学生の履修を促す様々なアプローチを実践
英語開講科目は学部が2013年の14.6%から2022年29%(ただし、体育実技科目を除く場合35%)に、大学院は同25%から同68%に増加しました。教員の公募の際には担当科目と原則となる開講言語も明示し、英語開講を担当できる教員の採用を着実に進めました。また英語開講授業支援として、Oxford EMIトレーニングに、2016年夏から2023年までの間に20名以上の英語を母語としない教員を派遣しました。 日本語開講科目にチャレンジする日本語学習者のために日本語シラバスの英語化にも取り組み(全授業科目中18.4%(2014)→56%(2023)が英語化)、バイリンガリズムを徹底した取り組みを続けました。
学修・教育支援を一つに
ICUの学修・教育支援のグッドプラクティス
学修・教育センター(CTL)の設置は本事業の目玉の一つでもあり、大学に点在していた学生や教員のための支援機能を統合しました。学修計画を立てるアドヴァイスや、論文執筆のライティングなど様々な学習サポートの充実やそれらが一か所に集まる利便性も向上しました。教員向けには、新任教員のオリエンテーションプログラムやインフォーマルなグッドプラクティスの学び合いの場も生まれ、英語での授業開講のための研修派遣など、教育を下支えする多種多様な取り組みが発展しました。 また、コロナ禍でもスムーズにオンライン授業に移行し、学生の学びが止まらなかったのは、ITを駆使した教育の実績や支援が元々あったこと、また教員同士のオンラインを活用した授業のノウハウの共有などの自発的な助け合いが生まれたことにあり、CTLが支援のハブになることができたからです。
IELTS6.5以上の割合
学生の語学力を支える工夫(ELAの事例)
学生の語学力伸⾧の背景には、英語力のリベラルアーツ英語プログラム(ELA)における様々な取り組みが挙げられます。ELA では4つのレベル(ストリーム)毎の学生のニーズを洗い出し、それらにアプローチするような科目設計と微調整を着実に進めました。科目の拡充もはかり、IELTS やクリエイティブ・ライティングといった上級総合英語の開設を増やしました。また、ライティングサポート・デスクとも連携し、英語ライティングチューターの充実をはかるために学生の選択科目となるチューター養成用の科目を設置し、ELA履修学生への手厚いサポート体制を強化しました。
日本版
THE世界大学ランキング
世界ランキング日本版への参画で受けた高い評価
ICUは、日本版THE世界大学ランキングが開始した2018年に私立大学総合4位(全国16位)を獲得したのち、2019年に私大1位(全国11位)になり、2022年を除き連続して1位に。また、2019年以降「教育充実度」の指標においては私立大学1位を維持したまま、2023年には総合ランキングで過去最高の全国10位と順位を上げました。ランキングがすべてではありませんが、スーパーグローバル大学事業に採択された大学として恥じない評価を受けることができました。(2023年より「THE日本大学ランキング」に名称変更)
文系学生の理系科目履修
アーツ・サイエンス学科の強みを活かした文理横断型教育を実践
自然科学分野での学びを強化し、より文理横断的な教育を促進する試みを実践しました。まず一般教育科目の中の自然科学分野の必修単位数を、2017 年度入学者より3単位から6 単位に変更し、その結果、理系メジャーを専攻しない学生が卒業までに取得する理系科目の単位数は2023 年に9 単位まで上昇しました。また、東京農工大学や筑波大学と連携し、理系科目を他大学で履修したり卒業研究指導を受けたりできる制度も開始。こうした制度的な改善を進めつつ、経営学と情報科学の教員によるデータサイエンス、社会科学と数学の教員による社会統計分析、さらには、物理学・心理学・文学・国際関係学の教員がチームで教える「ポスト・ヒューマン」、これらをテーマにした、学際的な視点でリベラルアーツならではの思考を試みる一般教育科目も開設するに至りました。
Global Liberal Arts Alliance加盟大学
世界との協働で多彩な教育交流が活発化
リーダーシップ等リベラルアーツの鍵となるコンセプトをテーマにした国際ワークショップに延べ10名の学生が参加しました。加盟校の一つであるThe College of Woosterとは自然科学専攻の学生が卒業研究と卒論執筆の準備を行なう交換プログラムを構築し、4年で5名を派遣(参考:留学経験者インタビュー)。教員交流でも、理系教育、平和研究といったワークショップに選考を経た延べ9名(2014~2023年)を送り、加盟大学間での教育に関するFDにもなりました。寮や学修教育支援、IRについて加盟校の事例を教職員6名が視察を通して学び、グローバルな交流が活性化しました。
MIISに参加した学生数
質が高く価値あるアカデミック・パスを
全米トップクラスのリベラルアーツ・カレッジであるミドルベリー大学の大学院MIISで学べる「通訳・翻訳」「国際政策・開発」「不拡散とテロリズム研究」の分野。学生はICUでの4年間に加えMIISに3セメスター(1.5年)在籍して学士と修士を取得するハイレベルなプログラムです。2016年度から2023年度までの間、通算7名が派遣されました。ICUで学んだ内容が海外の大学の基礎要件として認定されるからこそ実現したAccelerated Entry Programで、ICUのカリキュラムの国際通用性の高さを示しています。ミドルベリー大学との交換留学協定によって必要最低修了年限分までMIISの授業料が免除される特別なプログラムです。
時代に即した国際交流の取組
オンラインの活用、多言語での身近な国際交流
ICUではコロナ前からGLAA加盟大学の授業をオンラインで繋ぐGlobal Course Connectionsを実施していましたが、コロナ禍を機に海外協定校とのVirtual Exchange Programが実現し、2022年度まで累計21名がICUの授業を、33名のICU生が協定校の授業を履修しました。2020年に始まったLanguage Buddies(会話テーブル)では英語を学習する学生と日本語を学習する学生をマッチングし、2022年には年間188組が活動しました。Language Tablesでは2024年1月には日、英、中、仏、西、露、韓、独の計8か国語で話せる機会を対面(コロナ禍ではオンライン)で創出しました。2022年度からは和解をテーマとした韓国延世大学とのオンラインと実地を組み合わせたLearnUs Global Semester Programが始まり、コロナ後の新しい国際教育交流の形へと発展しました。
交換留学協定数
派遣と受け入れの伸⾧と健全なバランスの維持
本事業期間中、交換留学の協定校の数が増加し、より多くの学生が留学できるようになりました。全学生に占める外国人留学生の割合(5月1日時点)は、7.2%(2014)→13.5%(2022)と、コロナ禍も9-10%台が保たれ、当事業開始時点から2倍近くに上昇しました。日本人学生の留学経験者の割合(卒業時)も55%から60%の高い水準を推移しています。中でも1 年間の⾧期派遣(交換留学)者数は大幅に増加し(2013-14年93名→2018-19年150名)、2023年度には全体の4割程度にのぼりました。協定校の数を増やすだけではなく、学生の行き来の良好なバランスも重要です。2018年度時点で、過去5年以内学生交流可能な協定の稼働率は派遣・受入共に98.6%と高い水準にあり、コロナ禍以降も調整をはかりながらバランスの維持に努めています。
専任教員の海外経験率
高い水準にある教員の海外経験率が実現するICUの特色ある教育
ICUの専任教員はすべて国際公募により採用されています。日本語と英語のバイリンガリズムは、教員同士の日常のやりとりや会議の場でも両方の言語を使用することにみても貫かれています。日本語を第一言語とする教員であっても英語で授業をしたり英語の卒業論文を指導する教員も多くいます。一方で日本語が母語ではない教員が日本研究に関する授業を担当したり日本語で授業を行うなど、学生と同じく教員も教育背景が多様で、そうした様々な視点から繰り広げられる教育が、ICUの独自性や多様性を創り上げているのです。
TOEIC800点以上の職員
ICUには「国際専門」の部署はありません
ICUではどのオフィスでも日本語と英語による対応を行い、専門部署を作らず全学体制でICUの国際性を支えています。SGU期間中には語学力向上に関わるビジネス英語の研修やTOEICやIELTSの受験料を補助する支援を行い、事業期間中(2014-2022)に延べ61名が参加しました。また、自己啓発のための大学の財政支援制度の利用や、海外での修業や就業経験のある職員の採用によって、職員に占める外国人及び外国の大学で学位を取得した専任職員等の割合も、6.3%(2014)から11.6%(2023)に上昇しました。
職員のSD研修派遣数
グローバルな視点で大学運営に参画できる職員を育成する海外研修
学外団体の主催する海外研修だけではなく、大学独自の制度も充実させました。協定校でもあるスウェーデンの大学での研修参加とオランダの大学でのジョブシャドウイングを組み合わせるなど、現地の高等教育を取り巻く状況について見分を広める機会を得て、語学研修に留まらない質の高い海外研修に職員を派遣しました。国際部門の職員だけではなく、学生サービス、学修支援、学務、図書館等幅広い分野で、職員の国際競争力や、異文化コミュニケーション力、業務における専門性の向上を目指し、グローバルな視点で大学運営に貢献する職員の養成に努めています。(参考:2023年度海外研修報告会)
情報アクセシビリティの向上
大学運営における情報アクセシビリティへの配慮(バイリンガル化、デジタル化)
ICUでは、学内の事務文書にも英語が用意されています。外国籍の教職員が手続き面でも不利益とならないよう人事など様々な申請が英語で可能な他、オンライン化されています。2020年からは規程集の整備を開始しました。これまで不統一だった単語の英訳語を整えたり、ジェンダー・ニュートラルにしたり、規程集の英文スタイルガイドも制定し、規程ごとにばらばらだった英語翻訳の統一化を目指して作業を行いました。また質の高い翻訳に役立てるため、学内の大事な用語についてまとめたICU用語集も作成しました。 他にも、学修歴証明書のデジタル化の実証実験にも参加し、成績証明書等の学生のための複数の証明書が2022年からデジタルで発行できるようになりました。これは日本の大学としても先駆けとなる試みで、特にコロナ禍以降の高まるデジタル化需要に早期に対応することができました。