本学学生がジャパン・カップ国際法模擬裁判大会2022国内大会で受賞
2022年8月 4日
左から渡部葵さん、大澤彩さん、川上詩子さん、服部翼さん
7月1日(金)から2日(土)に開催されたジャパン・カップ国際法模擬裁判大会2022国内大会(主催:国際法学生交流会議、後援:外務省・朝日新聞社)に、本学教養学部3年の大澤彩さん(おおさわ あや、メジャー:法学、マイナー:開発学)、川上詩子さん(かわかみ うたこ、メジャー:法学・社会学)、服部翼さん(はっとり つばさ、メジャー:法学・社会学)、渡部葵さん(わたなべ あおい、メジャー:国際関係学)がICUチームとして出場し、渡部さんが弁論被告第4位、川上さんが弁論原告第9位、大澤さんが弁論被告第10位を受賞しました。
大会には、小樽商科大学・大阪大学・海上保安大学校・京都大学・国際基督教大学・上智大学・東京経済大学・東京大学・同志社大学・東北大学・名古屋大学・法政大学・横浜市立大学・立教大学・早稲田大学が参加し、従来からの強豪チームが約10人〜30人体制で臨む中、本学は4人で出場し、好成績を残しました。
模擬裁判大会では、現実の事件を素材とした架空の国家間紛争に関する問題文について、綿密な文献調査を踏まえて原告・被告双方の立場から法的議論を準備し、裁判官役を務める大学教授・外交官・弁護士らの前で口頭弁論を行い、質問に応答する法的技術を競います。模擬裁判を通じて身に付けた能力は、国際紛争の平和的解決に大きく貢献することが期待されます。
模擬裁判活動は、徹底したアクティブラーニングの教育法として世界中の大学で注目されています。ICUでも松田浩道准教授がニューヨークに拠点をおく日本国際基督教財団(JICUF)の助成を受け「平和と人権のための法学国際アクティブラーニング(International Active Learning in Law for Peace and Human Rights)」というプロジェクトを進めています。
学生のコメント:
大澤彩さん
模擬裁判大会にはなんとも言えない癖になる魅力があります。提示される現代社会に根ざした問題に対し、チーム一丸となって適切な条文・判例・学説等をあさり、書面を書き上げ、その後対抗するチームに対する口頭弁論を練る。このプロセスは、時間と労力、そしてある程度のコミットメントを有するものです。しかし、毎回模擬裁判をやり遂げた後は何事にも変えられない達成感があります。
今振り返ると、JAPAN Cup 2022 国際法模擬裁判大会は、私にとって3度目となる模擬裁判への挑戦でした。それでいて、常に新しい学びの連続でした。特に、今回は書面と口頭弁論の双方を日本語で行うという初の試みであったことから、国際法を日英両言語で操る能力が試されました。ICUというリベラル・アーツの大学で法学を専攻する身として、国際法模擬裁判大会は机上の学びを実践に移す貴重な機会だと感じております。このような場を与えてくださった松田先生、共に最後まで切磋琢磨して挑んだチームの3人を始め、この大会に関わられた皆様に深く感謝を申し上げます。
川上詩子さん
今日の情勢などから国際法は拘束力があり、常に有効であると直ちに断言することのできない、複雑で脆いもの、ということもできますが、世界のルールブックのような存在であることに変わりはありません。その存在意義や有効性が問われる今こそ、改めて国際法についてより深く学んでいきたいと改めて感じました。
また、国際法は、国内法令と比べて抽象性が高く、事例と向き合う際には判例・時代背景・両国の利害関係・その他文化民族への配慮などと多くのことについて考えなければいけません。そのため、国際法模擬裁判準備の過程では情報量の多さ、事例の複雑さに頭を抱えます。しかし、その全ての作業がとても刺激的でした。今後も一つのことに縛られない、包括的で実践的な学びを法学においても、その他の学問においても、追求していきたいと思います。
服部翼さん
今回の経験を通して、リベラルアーツの魅力を感じました。各大学から法学部の学生や、国際法を専門的に学ぶゼミに所属している学生が集まる大会において、ICUの代表者は国際関係学メジャー。かくいう私も、今でこそ法学と社会学のダブルメジャーではあるものの、大学2年まで経営学メジャーにしようと考えており、実際に法学を本格的に学び始めたのは、ほんの半年前くらい、国際法など全く触れたことがありませんでした。それにもかかわらず、全国のレベルで戦うことができた。これは、非常に誇らしいことであると思います。
勉強の本質は、何を学ぶかの「選択」にあるのではなく、何をどのように自分のものにするかの「獲得・修得」にあるのであり、選択の壁に縛られない理想的な教育を体現する形がリベラルアーツであると、今回の経験を通して改めて実感しました。法学は、「人権」「平等」「自由」のような哲学的な概念から、日常の様々な場面まで幅広く勉強することができ、複雑な世界を読み解くヒントをくれる魅力的な学問です。ICUのリベラルアーツだからこそ得られる学びに感謝して、今後の勉学に励んでいきたいと思います。
渡部葵さん
昨今の国際社会はウクライナ侵攻、難民問題や領土問題など、多岐にわたる問題を抱えています。模擬裁判大会で扱うのはあくまで架空の問題に過ぎませんが、全て現実の問題となにかしらの繋がりが存在する、難しくも興味深い問題です。問題、そして対戦相手に対して、自分の頭脳と言葉で挑む模擬裁判大会は、現実世界の国際課題に法学という視点から触れることができ、それだけでもこの大会には大きな意義があると思います。
私は法学ではなく国際関係学メジャーとして参加したのですが、初めての大会で被告弁論4位入賞という形で結果を残せたことを嬉しく思います。準備はとても大変ですが、それ以上に得られた達成感や充実感はかけがえのないものです。「模擬裁判」と聞くと近寄りがたいかもしれませんが、論理的に考えることが好きであれば誰でも挑戦できるので、ICU生はかなり向いていると思います。一緒に挑戦してくれた3人、そしてここまでご指導くださった松田先生に心より御礼申し上げます。ありがとうございました。