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本学学生がジャン・ピクテ国際人道法世界大会でベストスピーカー賞を受賞

公開日:2019年5月15日

ジャン・ピクテ国際人道法世界大会で国際赤十字委員会を代表して弁論を行ったICUチーム。<br>写真左から、カリカ・カスティンさん、鳴島歳紀さん、藤岡誠さんジャン・ピクテ国際人道法世界大会で国際赤十字委員会を代表して弁論を行ったICUチーム。
写真左から、カリカ・カスティンさん、鳴島歳紀さん、藤岡誠さん

3月30日から4月6日にかけて、本学大学院生でロータリー平和フェローのカリカ・カスティンさん、教養学部4年鳴島歳紀さん、同3年藤岡誠さんからなる学生チームが第32回ジャン・ピクテ国際人道法大会に出場し、カリカ・カスティンさんが英語部門でベストスピーカーに贈られるジルベール・アポリ賞を受賞しました。150人の大会参加者のうち、同賞を受賞するのは英語・仏語各部門1名ずつで、弁論の明快さ、チームワーク、文化的感受性、他者への敬意、話を聞く能力などを基準に選ばれました。

本学の学生がピクテ国際人道法大会に参加したのは今回が初めてで、日本の大学としては二校目でした。大会参加は、日本国際基督教大学財団(JICUF:Japan ICU Foundation)からの資金援助で実現しました。

学生チームからのコメント:

ICUでは、すべての新入生が世界人権宣言の原則に立って大学生活を送る誓約書に署名します。ジャン・ピクテ国際人道法大会に出場したことによって、この学生宣誓の意味を深く理解することができました。この大会では、紛争の様々な当事者の立場でロールプレイを行いました。林の中を歩きながらNGO職員の役を演じたり、会議室で弁護士の立場から発言したりして、架空の紛争につき、人道法に基づき人権を擁護すべく、素早く機転を利かせなければなりませんでした。ICUのような恵まれた環境にいると、武力紛争は遠い世界の出来事のように思えますが、ピクテ大会に参加し、判例が未来の社会を形作ることから、世界市民として区別や比例性の原則を擁護し、不要な苦痛を防ぐことがいかに重要かを実感しました。

平和の理念の下に創設された大学の一員であることは、私たちのパフォーマンスに確実に影響したと思います。英語部門に出場した数少ない法学専攻でない学生としてジルベール・アポリ賞を受賞できたのは、ICUチームがしっかりしたリベラルアーツの土台の上に協力し合い、強豪校に勝る弁論を行ったことを意味します。他者への共感、思いやり、そして3人それぞれの専攻に基づく知識(平和研究、哲学、公共政策)を活かし、リベラルアーツを学ぶ学生として、法学の知識とは異なる視点から国際人道法を見ることができました。今回の受賞で、ICUのリベラルアーツ教育と平和を尊ぶアプローチが、批判的思考と変革の原動力をもたらすことを証明できたと思います。

指導した松田浩道助教(メジャー:法学、日本研究)のコメント:

ジャン・ピクテ国際人道法大会は世界で最もよく知られたハイレベルな国際大会です。ICUからは大学院科目「法と平和」を受講する大学院生と学部生が参加しました。学生は、紛争事例を想定して行われるロールプレイを通じて国際人道法の理論と実際を体得することができます。世界各国から優秀なロースクール生が集まったなかで、ICUの「リベラルアーツのなかの法学教育」が専門性と学際的な深い教養、文化的感受性、他者への敬意等の総合力において世界トップレベルであることを示すことができました。JICUFの支援に心より感謝いたします。今後も国際的プログラムへの積極的な参加をICU生に勧めていきたいと思います。

(この記事は、2019年5月1日付のJICUFニュースを本学が一部編集したものです。)