日本語教育プログラム

ICU が掲げる日英バイリンガリズムを実現するため、創立当初より日本語教育に力を注いできた歴史があります。大学内外において必要な日本語能力、および日本語でのアカデミックスキルを身に付ける機会を日本語教育プログラム(JLP: Japanese Language Program)は提供しています。ICU で学位を取得する4年本科生、交換留学生、大学院生など、毎年40 数カ国に及ぶ多様な背景を持つ300人ほどがJLPで学んでいます。

学生は、プレースメントテストの結果に基づき、<外国語としての日本語>を学ぶトラックと<第1言語/継承語としての日本語>を学ぶトラックのいずれかで学びます。海外の学校や国内のインターナショナルスクール等で教育を受けた学生向けの総合的な「日本語特別教育プログラム」を設けていることはJLPの特筆すべき特徴です。また、日英両語ともが母語でない学生、初めて日本語を学ぶ学生、日本語ネイティブに近い学生等の多様な学生については、一人一人に合った適切な日本語教育を通して、可能性を引き出していきます。

日本語プログラムのコース全体

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注:開講されるコースは学期ごとに異なりまので、シラバス で確認してください。
(リベラルアーツ英語プログラムの下に記載されています)

※ JLPの詳細は こちら(英語ページ) を参照してください。

学生の声

日本語教育プログラムを履修した学生に、感想を尋ねました。

*学年・履修内容はインタビュー当時のものです。

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トンプソン 咲彩

教養学部2年
履修:開始時 Introduction to Japanese for First / Heritage Language Speakers、SJ3 & SJ Kanji 3まで終了
出身:リンカン・ハイスクール(LINCOLN HIGH SCHOOL /オレゴン州 アメリカ)

公開:2023年6月

ICUに入学した理由を教えてください。

アメリカに住んでいた頃から、日本人の母を通じて多種多様な日本文化に触れてきました。初詣などの伝統的な行事や和食に心惹かれ、このような文化を肌で感じたいと思い立って、日本の大学への進学を決意しました。

ICUを選んだのは、国内にある大学の中で最もダイバーシティに満ちた環境だと確信できたからです。多国籍の学生たちとともに少人数のクラスで学び、さまざまな考えに触れられることに強い魅力を感じました。学部ごとではなく一つの教養学部に多彩な専門分野を持つ学生が集う仕組みも、自由な意見交換を促す上で重要だと思います。

日本語教育プログラム(JLP)の授業はどうでしたか。

私が受講した日本語特別教育(Special Japanese Program)では、毎週の授業で日本語の文章作成や読解、ディスカッションに取り組み、中間・期末に発表を行います。はじめは日本語の文章があまり読めず不安でしたが、授業を経て少しずつ読解に必要な考え方が身に付きました。最後には日本語の書籍をもとにレポートを書き上げることができ、語学力の向上を実感しています。

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日々の授業や課題に取り組む上では、先生から一対一でアドバイスを受けられる個別指導(チュートリアル)が大いに役立ちました。また、出題された文章をテーマに行うディスカッションも印象に残っています。それぞれの発表について良かった点や改善点を伝え合い、切磋琢磨しながら学習を進められました。

日本語特別教育(Special Japanese Program)の学びを振り返って感じるのは、「言語はその国の文化と密接に関わっている」ということです。日本語による敬語表現を習ったとき、アメリカにはない上下関係に対する配慮に驚きましたが、同時に異文化を知る面白さも感じました。培った語学力を生かし、今後は日本語開講の授業も履修していきたいと考えています。

ICUの学生生活は充実していますか。

人で混雑する東京のイメージとは違い、ICUは少人数教育を徹底しており一人一人と話しやすい環境です。私はチアリーディング部に所属し、大学祭や大会に出場するなど積極的に活動しています。英語で意見を伝えることもありますが、 ICUの公用語は日英両語ですし、部員のみんなが真剣に話を聞いてくれるおかげで、言語の壁にとらわれずコミュニケーションできています。

授業や部活の後はキャンパス内の寮に帰宅し、キッチンやソーシャルルーム(談話室)、居室で友達と話し込むこともあります。入寮時に開催されるウェルカムパーティーを始め、学生寮では友達の輪を広げるイベントが数多く開催されています。
最初は見知らぬ土地での生活に戸惑いがありましたが、ICUで出会った仲間との絆によって乗り越え、今では思う存分学生生活を満喫できています。

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ロビー ペン(Peng Robbie)

教養学部2年
履修:開始時 Japanese 5 / 終了時 Japanese 7
出身:ガーフィールド・ハイスクール(GARFIELD HIGH SCHOOL /ワシントン州、アメリカ)

公開:2023年6月

ICUに入学した理由を教えてください。

高校時代に第二外国語として日本語を学んだことで、日本の地域や文化に関心を持ちました。当時はまだ将来像が明確に見えていませんでしたが、日本語の知識を生かしたいという思いが芽生え、その第一歩として日本の大学に進学することを考えるようになりました。

入学先にICUを選んだのは、高校の日本語教師から勧められたことがきっかけです。日本国内にある他の大学も調べましたが、日本語・英語それぞれを母語とする学生がともにリベラルアーツで学べる環境はICUにしかありませんでした。
一人きりで外国に住むことを決めるのには迷いがありましたが、実際に日本で生活を送る今は挑戦して良かったと心から思います。

日本語教育プログラム(JLP)の授業はどうでしたか。

授業を受けて驚いたのが、教員一人あたりの学生数が極めて少ない参加型の学びです。私が履修したのは、外国語としての日本語を学ぶJapanese Programです。中でもJ5というコースは教員4人と学生20人でクラスが構成されており、疑問があれば気軽に相談できる体制でした。また、講義やディスカッション、配布資料など全てに日本語が用いられており、どっぷりと日本語に浸るイマージョン(immersion)教育によって、着実に語学力を伸ばすことができたと感じます。

私は1年目の春から夏にかけて日本語教育プログラム(JLP)の単位を取り終え、日本語開講の授業を幅広く履修できるようになりました。日本語のスキルに自信がつき、最近では例えば病院などでも自分の状況を伝え、診察結果を聞くという一連のやりとりも日本語で行うことができています。

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ICUの学生生活や、日本の生活は充実していますか。

キャンパス外にあるシェアハウスに入居し、多様な国籍・年齢の住人と共同生活を送っています。来日したばかりの頃は友人ができるか不安でしたが、シェアハウスの住人に話しかけてもらって仲が深まり、さまざまな考え方を知って視野も大きく広がりました。

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ICUでは、高校時代から入部を考えていたボルダリング部に入部しました。先輩・後輩の関係性を踏まえた礼儀を教わったり、練習後に部員みんなで食事に出かけたりと、競技以外でも貴重な体験ができています。
時にはアメリカとの文化の違いに驚くこともありますが、「自分が知っていることが全てではない」という気付きが、異なる文化や価値観を尊重するための出発点だと思えるようになりました。もし今ICUへの留学を迷っている人がいたら、「やらない後悔よりもやって後悔」だと思って挑戦することをお勧めします。その結果得られた経験の数々が、きっと自分を大きく成長させてくれるはずです。

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クラヴェール 豊

教養学部2年
履修:開始時 Special JapaneseJ1, Special Japanese 3 および Special Japanese Kanji 3 まで終了
出身:ルドルフ・シュタイナー・スクール(RUDOLF STEINER SCHUL /ハンブルク、ドイツ)

公開:2023年6月

ICUに入学した理由を教えてください。

ドイツ人の父と日本人の母の間に生まれ、幼少期から学校ではドイツ語、家庭では日本語を使い分けるのが日常でした。2つのルーツを持つことから長年アイデンティティに疑問を抱いていましたが、次第に複数の言語・文化に触れてきた経験こそが自分の強みだと考えられるようになりました。
高校時代にアメリカ留学で英語力を身に付けていたこともあり、日英両語で学べる日本の大学に進もうと決意し、ICUへ入学しました。進路選択の後押しとなったのは、ICUならではの多様性あふれるキャンパスです。世界各国からさまざまな価値観を持った学生・教職員が集まり、対話を通して刺激を与え合える環境は、私にとって理想的でした。知り合いからもICUの評判をよく聞いており、教育内容について調べる中で、幅広い分野の学びを通して思考力を高められるリベラルアーツにも強い魅力を感じました。

日本語教育プログラム(JLP)の授業はどうでしたか。

クラスには同じようなバックグラウンドや目標を持って語学習得に励んでいる学生が多く、ディスカッションなどにも積極的に取り組めました。入学当初は日本での暮らしや勉強に慣れず不安もありましたが、1年間彼らとともにJLPで学んだ結果、学生生活のリズムができたと実感しています。

私が履修した日本語特別教育(Special Japanese Program)では文章作成や読解に重点を置いて学ぶため、苦手意識があった日本語でのレポート作成のスキルが格段に向上しました。一つ一つの言葉の意味だけでなく、英語と日本語による論文の構造の違いまで教わったことが成長につながったと思います。
また、週1回の個別指導(チュートリアル)では、授業中に芽生えた疑問について先生に質問することができます。日本語学習だけでなく、学生生活の悩みや将来の夢など、幅広い相談に応えてもらったおかげで、一人で問題を抱え込まず学修に打ち込めました。

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ICUの学生生活や、日本の生活への印象を教えてください。

ドイツに住んでいた頃から家庭内では和食や日本文学に親しんでおり、長期休暇のたびに日本を訪れていました。そのせいか文化や生活習慣に対する大きなギャップは少なく、入学当初を乗り越えれば、あとは比較的スムーズに日本での生活に移行できたと思います。

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2年目からはICUの学生寮に入ったことで、他の学生とのコミュニケーションの機会がより一層広がりました。相談できる相手が身近にいるのはとても心強く、寮生活を送り始めてからは悩みや心配事が少なくなったと感じます。学生同士はもちろん教職員との距離も非常に近く、何でも気軽に話し合えるのは、少人数教育を展開するICUだからこそ。ICUへの進学を検討している人には、ぜひこの素晴らしい学修環境を知ってもらい、入学後は多彩な交流の場を生かしてさまざまなことにチャレンジしてほしいと思います。

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デイリー・シエナ(Siena Daly)

教養学部2年
履修:開始時 Japanese 6 / 終了時 Japanese 7
出身:フェイスクリスチャン・アカデミー(Faith Christian Academy /コロラド州、アメリカ)

公開:2023年6月

ICUに入学した理由を教えてください。

母親の仕事の都合で、幼少期から度々日本を訪れていました。当時は海外からの観光客が珍しかったのか、日本人の方々に写真撮影をお願いされたりお土産をもらったりと、熱烈な歓迎を受けたことを覚えています。この体験で異文化交流の楽しさに目覚めた私は、「日本語を勉強して日本に住みたい!」と両親に懇願し、小学生の頃に単語を学び始め、高校1年生のときに東京都内の日本語学校で6週間の短期留学、高校3年生のときに千葉県の高校に1年間の交換留学をしました。

アメリカの高校を卒業後、来日して山梨県の日本語学校に通いながら、進学先を検討しました。さまざまな選択肢の中で本格的なリベラルアーツや日英バイリンガル教育が用意されているICUに魅力を感じて、入学を決意しました。

日本語教育プログラム(JLP)の授業はどうでしたか。

私は外国語として日本語を学ぶJapanese Programを履修し、J6とJ7のコースを修了しました。学術的な単語や文章作成法を学ぶ「アカデミック・ライティング」では高度な内容をレポートにまとめるのに苦労しましたが、おかげでICUでの学びの基盤を築くことができました。

コロナ禍のため授業は基本的にオンラインで開講され、対面授業は一部でしたが、OYR(One Year Regular:1年間の交換留学生)を始め、多彩なバックグラウンドを持つ学生と交流できました。来日やICUへの進学に至った理由を話し合って盛り上がったことは、とても印象に残っています。

日本語を一通り学び終えた今は、日本語開講の科目を履修しつつ、新たなチャレンジとして中国語の学習を開始しました。幅広い分野を学びながら日本語を習得できる環境は、ICUならではの強みだと思います。

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ICUの学生生活や、日本の生活は充実していますか。

入学後1年間はオンラインで授業を受けていたため先生や学生と対面で話す機会がなく、心細さを覚えた時期がありました。しかし、次第に交流の場が増えて友人の輪が広がり、今ではさまざまな団体に所属しています。

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ICUでの履修や学生生活などの相談に応えるピア・アドヴァイザー団体IBS(ICU Brothers and Sisters)、仲間とともに聖書の内容を紐解くEnglish Bible Study、スキー部などで活動しています。学外で都内にある教会の活動に参加することもあります。忙しい毎日だからこそ、趣味や休息の時間を意識的にとることが今後の課題です。

今、来日することやICUへの進学を迷っている方は、恐れず夢に向かって一歩踏み出してみてください。異国の地で暮らすにはさまざまな障壁を乗り越える必要がありますが、その先には想像以上に素晴らしい学生生活が待っています。