大学院概要

大学院部長メッセージ

多種の専門分野を包括俯瞰する能力を涵養し、
国際社会の時々刻々と変化する課題に向き合う大学院。

大学院部長
溝口 剛
MIZOGUCHI, Tsuyoshi

国際社会における大学院の役割とは何でしょうか。4年間の大学学部での学びの後、自らの1つの専門性をさらに深化・発展させるために、大学院進学を選択する人もいるでしょう。

勿論、自らが興味を抱く学術分野を自由に選択し研究できるICUにおいて、自らの専門性を高度化することは可能です。しかし、私達が生きる現在の国際社会が直面している課題は、様々な要因が複雑に絡み合い、時々刻々と変化するため、1つの高度な専門性を備えているだけでは、単独で解決することは困難です。

例えば、世界レベルでの新型ウィルスの感染拡大抑止や治療の課題を考えてみましょう。課題解決には、医学や生物学の理論や技術だけでは不十分です。新型ウィルスの特徴を研究し、感染と発症メカニズムを理解し、診断技術や予防薬・治療薬の開発は必要です。しかし、感染拡大を抑止するために、国内のみならず国際的協調による政治的な判断を迅速かつ的確に行うことが重要です。経済活動への影響を試算し、業種分野ごとに補償内容を検討することも大切です。消費活動への影響はどうでしょうか。政府やマスメディアからの情報公開の仕方、私達の情報の受け取り方や行動によって、大きな混乱も起こり得ます。政治学、国際関係学、経済学、法学そして情報科学などについても、包括的・多面的に理解ができると良いですね。

つまり、高度な専門分野の研究者だけでなく、包摂的・分野横断的な視点をもつ人材が、現在の国際社会に生じうる多種多様な課題解決には必要なのです。ICU大学院は、研究室によって学ぶ内容を分断しません。学術領域を超えた対話こそが、「専門性のさらにその先、世界のさまざまな問題を解決へ導く力」を身につけるために有効であると信じています。

アーツ・サイエンス研究科設置届出書類

研究科概要

授与学位

博士前期課程、後期課程では、次の学位を取得することが可能です。

学位一覧 アーツ・サイエンス研究科

研究科課程専攻専修分野学位

アーツ・サイエンス

研究科

博士前期課程 心理・教育学 教育学 修士(教育学)
心理学
言語教育
公共政策・社会研究 政治・国際研究 修士(行政学)または修士(国際関係学)
社会文化分析 修士(社会文化分析)
メディアと言語 修士(メディアと言語)
公共経済学 修士(公共経済学)
平和研究 修士(平和研究)
比較文化 日本文化研究 修士(比較文化)
超学域文化研究
理学 数学・情報科学 修士(理学)
物質科学
生命科学
博士後期課程 アーツ・サイエンス 博士(学術)

教育システム

学年暦について

入学:入学時期は4月と9月の2回あり、どなたでもいずれかの入学期を選ぶことが可能です。詳細については入学案内ページをご覧ください。

卒業:卒業時期は3月と6月の2回あり、海外留学、就職などの進路に合わせて卒業できます。

3学期制:一年を春、秋、冬の3つの学期に分けて、学期ごとに授業を完結させる3学期制を採用しています。

授業について

1時限は70分授業です。授業科目の単位数が、一週間における授業時間数(実験実習等を除く)を表します。

言語について

日本語開講と英語開講の授業があり、学生はその中から状況に応じて授業を選択していきます。日本人学生と留学生が同じ授業を受ける中で、お互いの語学スキルもアップしていきます。
研究に必要な英語能力を習得する英語科目や、留学生に対する日本語プログラムを、それぞれ用意しています。

なお、公共政策・社会研究専攻については、英語での授業のみで、修士の学位を取得することも可能です。

共通科目について

本学研究科は、基礎知識と専門的な論文作成、コンピューティング、領域研究スキルを育成するため以下の学際的共通科目を導入しています。
研究方法や論文作成、発表スキルの向上を図るため、学生は、少なくともこれらの科目からひとつを履修しなければなりません。
一年次の履修が望まれます。

授業科目名:現場実習による専門学習

自己の研究課題に関わることが、実際の社会の現実の中でどのように活かされているかを、実地で経験することは、研究のモチベーションを強め、また研究の新たな展開を発見することにつながります。このコースでは、研究分野の異なる大学院生が、それぞれに専門を活かした分野で、社会貢献あるいはインターンシップを行うとともに、その経験によって得られた知見を全体で報告し合うことにより、研究分野を超えた異分野間のコミュニケーションの能力を高めることも目標とします。実地経験の場所は、NGO/NPO、政府機関、国際機関、博物館、学校。

授業科目名:研究者のための論文作成法(英語)

このコースでは、それぞれの研究分野に必要な研究論文作成の方法を身につけることを目標とし、各学問分野に共通する学術論文の書き方を学びます。たとえば読み手の想定、必要とされる記述事項の明確化、情報の組み立て、論理的記述、データ分析等を訓練します。また、文例を分析し、専門領域に特有な文体や、内容及び書式を理解します。学習した内容をふまえて、実際に論文を作成します。

授業科目名:研究者のための論文作成法(日本語)

日本語での学術論文の書き方は研究領域や分野で異なる点がありますが、このコースでは代表的な学術論文のフォーマットおよびスタイルも含め、学術論文の基本的な構成を説明します。その後特定の主題を選び、実際に論文を書きながら訂正・修正・削除・加筆などの指導を受け、よりよい論文の書き方を学びます。

授業科目名:研究者のためのデータ活用と分析

コンピュータをツールとして活用し、研究論文作成に必要な基本要素の理解および実技を通してスキルを身につけることを目標とします。膨大な情報から必要な情報を検索・抽出し、それらを必要な形態に変換するデータ処理、データの可視化に必要なグラフ作成のスキルなどを学びます。また、データ分析の基礎を学ぶとともに、実技によって実際の方法を学び、最後に文書整型ツールを利用した、学術論文などの作成を行います。

カリキュラム及びシラバス

カリキュラム・シラバスは下記をご覧ください。

  • 科目一覧(「大学院科目」を選択してください。)
  • シラバス(「メジャー Major」から大学院科目を選択してください。)

学位論文審査基準

博士前期課程

  • 研究課題が明確に設定されていること。
  • 研究の方法が具体的に記載されていること。
  • 先行研究を十分に理解、検討し、研究内容の学術的な位置づけが明示されていること。
  • 文献が適切に引用されていること。
  • 論文の内容が、独自の観点を有していること。

博士後期課程

  • 研究課題が明確に設定されていること。
  • 研究の方法が具体的に記載されていること。
  • 先行研究を十分に理解、検討し、研究内容の学術的な位置づけが明示されていること。
  • 研究内容が明確かつ論理的に記述されていること。
  • 文献が適切に引用されていること。
  • 論文の内容が新奇性を有し、内容が当該研究分野及び社会に対し新しい知見を含むこと。

特徴

日本語と英語のバイリンガル教育を基礎に、世界と日本を結ぶ架け橋としての役割を担う高い専門生を備えた指導的な人材を育成することを目的とした、大学院の特徴を紹介します。

ICUの歩み

第二次世界大戦敗戦直後、「キリスト教精神にもとづく総合大学設立」を願う日本の教育に携わるキリスト者に、アメリカのキリスト教関係者が賛同し、日本とアメリカでICU設立のための募金活動が行われました。そして、1953年4月日本初のリベラルアーツカレッジとして国際基督教大学教養学部は生まれました。また、設立当初からの「大学院教育に重点をおく」という構想に基づき、1957年4月に大学院教育学研究科、1963年行政学研究科、1976年比較文化研究科、1987年には理学研究科を開設しました。そして2010年4月、学際的教育を目指し4研究科を統合し、「アーツ・サイエンス研究科」として生まれ変わりました。

美しく多様性のあるキャンパス

広いキャンパス内に学生寮を完備、海外からの留学生も国内の学生と一緒に生活をともにしています。様々な国籍の学生と教員がキャンパスで出会い、個々の「違い」を受け入れて互いを尊重し、教育・研究できる環境の中で、グローバルな人材を育成しています。

ICU環境宣言

ICUは、その美しいキャンパスにおいて比類なく美しい自然と、貴重な文化遺産を擁しています。ICUはこの環境を天恵の財として、その保全に責を負うことを宣言しています。

日英バイリンガル教育

広いキャンパス内に学生寮を完備、海外からの留学生も国内の学生と一緒に生活をともにしています。様々な国籍の学生と教員がキャンパスで出会い、個々の「違い」を受け入れて互いを尊重し、教育・研究できる環境の中で、グローバルな人材を育成しています。

「対話」を重視した学び

リベラルアーツカレッジとして、ICUが最も重視しているのは、教員と学生の「対話」です。「誰が、何について、どう考えているのか」を互いに共有し、対話の中から新しいアイデアを引き出そうとするスタイルは、教員一人ひとりの「学生の個を尊重し、可能性を引き出そう」とする強い意識の現れです。

多国籍なキャンパス

様々な国籍の学生と教員がキャンパスで出会い、個々の「違い」を受け入れて互いを尊重し、教育・研究できる環境の中で、グローバルな人材を育成しています。

専任教員の出身国

出身国・地域人数
日本99
アメリカ18
イギリス12
韓国6
カナダ5
ドイツ2
ハンガリー2
ニュージーランド1
アルゼンチン1
オーストラリア/イギリス1
ブルガリア1
カナダ/イギリス1
チェコ1
フランス1
スペイン1
イギリス/アイルランド1
イギリス/アメリカ1
イタリア1
155

*2019年10月現在

大学院生の出身国

出身国・地域人数
JAPAN 77
CHINA 17
USA 9
PHILIPPINES 8
KOREA 4
LAOS 4
NEPAL 4
UK 4
AUSTRALIA 2
BANGLADESH 2
COLOMBIA 2
FRANCE 2
INDIA 2
KIRIBATI 2
MALAYSIA 2
MEXICO 2
MYANMAR 2
SOUTH AFRICA 2
ZIMBABWE 2
ARGENTINE, AUS/CAN, BRAZIL, DENMARK, EGYPT, ESP/CHE, FIJI, GAMBIA, HUNGARY, INDONESIA, MALI, NAMIBIA, NICARAGUA, PNG, SIERRA LEONE, SWEDEN, TAIWAN, TANZANIA, UGANDA, VIETNAM 1 each
169

*2017年4月現在

TA制度

Teaching Assistantとして授業の補助をすることにより、教員から直に教育方法等を学びながら、報酬を得られます。奨学金と並び、大学院生の研究活動を経済的にサポートするシステムです。

卒業後の進路

ICUでは少人数制を活かして、就職ガイダンス、就職登録者全員対象の個別相談などを実施し、一人ひとりの学生が納得のいく進路を見つけられるようにきめ細やかな就職支援を行っています。就職活動に必要な情報や資料の閲覧はもちろん、OB・OG検索のための専用PCも設置しています。また、働くことについての意識を高めることを目的としたキャリアセミナーをはじめ、業界研究会、会社説明会、公務員・就職マナーなどの各種 セミナー、就職活動体験発表会など数々の行事を開催しています。

詳しくは、就職相談グループのウェブサイトをご覧ください。

主要進路先一覧(2018年度)

進学 国際基督教大学 アーツ・サイエンス研究科
同志社大学 グローバル・スタディーズ研究科
Fourah Bay College Department of Law
Western Sydney University
University of Bath
一般企業 イトグチ
帝国データバンク
日立ハイテクノロジーズ
Dalian Municipal Administration of Culture, Radio, Film, and TV
KPMGグループ(KPMG税理士法人)
PNG Ports Co. LTD
The People's Bank of China
非営利団体 独立行政法人 日本芸術文化振興会
公益財団法人 早稲田奉仕園
Teaspoons of Change
教育 カトマンズ大学
神奈川大学
恵泉女学園中学・高等学校
光塩女子学院
スタンフォード日本センター
千駄ヶ谷日本語学校
東洋大学
ECOSUP/ALTERNANCE
Colorado College
Harbour School
Ministry of Education, Kiribati Teachers' College
Savannakhet University
Yasayasa Moala College
公務員 東京都庁
日中韓三国協力事務局
China National committee on Ageing
Commission on Population Regional Office V, Philippines
Gambian Immigration Office
Gauteng Department of Education
Government of Nepal
Ministry of Education and Sports in Laos
Office of the Ombudsman, Philippines
Sugar Regulatory Administration, Philippines
Ministry of Federal Affairs and General Administration, Government of Nepal

学生の声

心理・教育学専攻 教育学専修
株式会社ダッドウェイ
岸 郁美さん

私は学部・大学院の6年間をICUで学び、現在は一般企業に就職しています。学部時代は教育学メジャー・社会学マイナーを専攻し、卒業論文では、テレビアニメに描かれている父親のイメージについて研究しました。その後大学院博士前期課程に教育学専修として進学し、卒論で扱ったテーマをより深く学び、研究を行いました。修士論文では、テレビに描かれているイメージだけでなく、そのイメージが子供の意識とどのような関係があるのか調査を行いました。博士前期課程を修了後の現在は、育児・ペット用品の輸入販売を行っています。

学部・博士前期課程を通して、私は学術的な興味とは別に、父親のイメージや父親の育児参加について興味を持っていました。一般的に広まっている父親のイメージはどこから来るのだろう、それぞれの家族にとって「良い」父親とはどのような父親だろう。このような漠然として抱いていた興味を、学術的な興味を結びつけ、研究につなげられたのは、ICUのリベラルアーツ教育のおかげだと感じています。ICUでは、自身の専攻以外の分野に関しても多く触れる機会があり、他の分野の授業を受講したり、指導教授以外の教授ともお話させて頂くことができました。そのため修士論文の中では、専修分野の教育学以外にも、心理学や社会学といった分野の視点も取り入れることができました。

このような他分野からの学びを行えたことは、研究だけでなく、将来の進路を考える上でも私に大きな影響を与えました。教育という枠組みに捕らわれ ず、社会の中で父親の育児はどのようなイメージが持たれているのか、どのように扱われているのか、などについても深く学び、考えることができました。その結果、父親の育児を企業の立場から支援することはできないのか、という考えを持ち、「お父さんの子育てをもっとおもしろ楽しくしたい」という企業理念を持った会社に就職することができました。ICU大学院に進学し、リベラルアーツ教育を通して広い分野からの学びが行えたことが、現在の仕事に繋がったと感じています。

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