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創立記念大学礼拝を挙行

公開日:2021年6月22日

6月16日(水)、本学礼拝堂にて創立記念大学礼拝が執り行われました。

この創立記念大学礼拝は、1949年6月15日、静岡県御殿場のYMCA東山荘に集まった日本と北米のキリスト教界の指導者たちによって開催された大学組織協議会で、「国際基督教大学」が正式に創立され、同日に理事会および評議員会が組織され、大学設立の基本方針、教育計画の原則が決定されたことを記念して毎年執り行われています。式は、コロナウィルス感染予防の観点から、会場内が密になるのを避け、讃美歌の合唱を控えるなどの対策を行いました。

北中晶子牧師の司式のもとに始まった礼拝では、讃美歌第 234 番(A)「昔主イエスの播きたまいし」の静聴、そして「コリント人への第二の手紙 9:6-9」が朗読され、本学岩切正一郎学長が「心に決めたとおりに」と題したメッセージを述べました。

 

以下、岩切学長メッセージ全文

ICUにはふたつの始まりの年があります。ひとつは創立の年で、1949年。もうひとつは献学の年で1953年。今から72年前の1949年6月13日から16日にかけて、御殿場のYMCA東山荘で、ICUを設立するための会議が開かれました。そして6月15日にICU設立の基本方針が採択されました。今日、創立72年を記念する礼拝は、この日に基づいています。ちなみに、1953年は設立が国によって認可され、大学が正式に開学した年です。

アイグルハート博士の執筆になる『国際基督教大学創立史』に、その頃の様子が詳しく書かれています。今からみると不思議な印象を与える事柄も書いてあります。ICUは、以前はキャンパスで乳牛を育てていた、という話はよく聞くのですが、1951年か52年には、アメリカから、大学のために、雛鳥600羽、羊7頭、豚6頭、ジャージー種の牝牛14頭、牡牛1頭、そして、農機具類の贈り物がもたらされた、とこの本には記されていて、初めてそれを読んだとき私はとても驚きました。当初の計画では、ICUに農学部を置くことも話題に上っていたようです。

さて、ICUの初代学長を務めた湯浅八郎氏は、これからできる新しい大学について、次のような構想を述べています。

この大学は新しい理念と新しいプログラムを持つ新しい大学でなければならない...この大学は、人種、国籍、および文化的背景を超えた第一級の大学でなければならない...この大学はまさしく新しい日本と新しい国際関係の理念をめざすことができるであろう。

そして、シラキュース大学のタリ総長は、ICUの創設を、「これまで日本はおろか、欧米でも完全な実現を見たことのない新しいタイプの高等教育を実物で示す絶好の機会」と述べています。ICUは、さまざまな夢や計画をのせて出発しました。

その後の歴史のなかで、それらには、実現したものもあれば消えてしまったものもあります。けれども、そのおおもとには、戦争の悲惨を乗り越え、神のもとに友愛で結ばれた者同士が、未来へ向かって、新しい、自由な大学を作ろうとする思いがありました。それを実現するために、北米と日本の市民は寄付をおこない、その資金をもとにキャンパスは購入され、大学は設立されました。

未来へのまなざしを思うとき、忘れてはならないもうひとつのことがあります。武田清子先生が執筆された大学史、『未来を切り拓く大学』のなかに、こういう一節があります。「その創設のヴィジョンの背景には、日米両方からの深い悔恨があった。」この悔恨とは、もちろん、日本の軍国主義と侵略戦争、そしてアメリカの原爆投下にまつわるものです。

今日、創立を記念するにあたって、人々が心に抱いた夢を実現へと駆り立てた、みずみずしく、大きな希望、と同時に、その底にあった悔い改めの心、それを、改めて思い起こし、胸に刻みたいと思います。先日起工式を終えた新館建設を始めとして、多くのプロジェクトを推進しながら、次世代へ向かって進んでいくICU、その構成員である私たちひとりひとりが、世界平和の構築、環境と調和した開発、学問の発展にこれからも貢献し続けることができますように。

ひとつの大義の裏にさまざまな欲望が渦巻き、不安のなかで人は心と体の居場所を求めている、そのような世界の状況のなかで、ICUのキャンパスとそこで実践されるリベラルアーツが、ひとつの本当の場所、われわれ人間が、われわれを越えた深い知恵とともに生きることのできる真の場所であり続けられますように。

わたしたちが、惜しまず豊かに撒く人であり、刈り入れの豊かな人でありますように。あらゆる善い業(わざ)に満ちあふれ、神のめぐみに満ちあふれていますように。

神様、わたしたちをお導きください。
主、イエス・キリストの御名によって、アーメン。