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2021年秋季入学式を挙行

公開日:2021年9月2日

9月1日(水)、大学礼拝堂において秋季入学式を挙行し、海外の高校や国内のインターナショナルスクールを卒業した学生をはじめ、交換留学協定校からの留学生など、学部・大学院合わせて220人を超える学生が、本学に入学しました。なお、緊急事態宣言延長に伴い、式はオンラインでの開催になりました。

入学式は、参加者一同での讃美歌静聴、北中晶子宗務部長代行の祈祷で始まりました。続いて、モンゴメリ, ヘザー教授が「コリントの信徒への手紙一 13章1-3節」を朗読しました。

その後、献学以来の伝統に則り、学部・大学院の新入生一人一人の名前が読み上げられ、岩切正一郎学長より新入生へ、激励の式辞を送りました。そして、新入生代表が世界人権宣言の原則に立ち本学での学生生活を送ることを誓う「学生宣誓」を読み上げました。一方、オンライン参加の新入生は、事前に新入生向けWebサイト上で、それぞれ「学生宣誓」に署名を行いました。

 

岩切正一郎学長 式辞(全文)

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教養学部ならびに大学院博士前期課程・後期課程新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。また、ご家族、ご親戚、ご友人のみなさまにも、心よりお祝い申し上げます。

新型コロナウイルス感染症のために、社会活動や人の行き来は今も大きく制限されたままで、入学式もオンラインで行うこととなりました。そのように困難な状況のなかではありますが、ICUを学びと研究の場に選んでくださったみなさんをお迎えでき、大変嬉しく思います。

世界では、多くの大学が、ポストコロナ時代を見据え、新しい教育のあり方を模索し、新しい仕組みの構築に乗り出そうとしています。本学も、ICT (Information and Communication Technology)を積極的に取り入れ、グローバルな観点にたって、大学としてのミッションを果たすべく、みずからを変革していくつもりです。今日からみなさんも、そのICU共同体の一員です。一緒に、新しいものの創造にチャレンジしていきましょう。

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1953年、ICUは「キリスト教精神に基づき、国際的社会人としての教養をもって神と人とに奉仕する人々を育てる」という目的のもとに献学されました。70年後の今、「国際的社会人」という表現は、「グローバルな市民」という表現に置き換えることができるでしょう。気候変動やエネルギー問題など、私たちは国と国との関係を包含する、より大きな地球規模の観点に立って様々な課題に取り組まなくてはならない時代に生きています。

グローバルな市民とはどのような人でしょうか? それは、グローバルな世界構造における格差、富の偏在、貧困、人権、搾取、といった社会的、文化的、政治的、あるいは環境に関する課題を認識し、その課題解決に取り組むことができる人。加えて、現場で対話力を発揮して事にあたることができる人です。対話、多様性、批判的思考を大切にするICUのリベラルアーツを通じて、みなさん一人ひとりが、自分の個別な営みを常に全体の関係性のなかに位置づけ、共通善(common good)の意識を持って行動できる人へ育っていって欲しいと思います。

大学で授業を担当するのは、それぞれの分野の専門家の先生です。みなさんが参加する授業は、すでに知られていることを再認識する場所ではなく、学問が今そこで形成されていく、現場です。その学びにおいて、みなさんは自由です。自由のなかで大切なのは、みなさん一人ひとりが、ICUで、また自分の人生の中で、何を実現しようとするのか、そのヴィジョンを持つことです。みなさんには、それぞれ、夢や情熱があると思います。それを大切にしてください。何よりもそこには、さきほど聖書朗読でも読まれたように、愛があります。その夢や情熱に、ICUで身に付けるアカデミックなアートを使って、他の人々へ伝達できる形を与えてください。自分が感じていること、考えていることは、対話、多様性、批判的思考を通じて、他者へとひらかれることで一般性を獲得します。みなさんが、ICUでの学びと研究を通じて、また友人や先生との出会いと人間的な関係を通じて、人生の礎となる、かけがえのない時間と経験を持つことを私は期待します。

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出会いには、いつも驚きがあります。自分が慣れ親しんでいた世界のイメージを壊す力を持っています。自分を安心させてくれる知識や思考の枠組みには収まりきらないものを前にして、私たちは初めて、本当の意味で考え始めます。哲学者のドゥルーズ(Deleuze)は、「世界のなかには、考えることを強制するような何かがある」と言っています。彼によれば、その何かとは、「根源的な出会い」(une rencontre fondamentale)の対象です。それまでの知識を集めても理解できないものを前にして、私は自分自身の知識の体系の外へ引き出され、出会っている対象についてまったく新しいやり方で考えるほかありません。ドゥルーズは、そのような出会いは偶然によってもたらされる、と言っています。偶然がもたらす根源的な出会いのなかで、深く考えること、私たちの創造はそこから始まります。今日から始まるみなさんのICUでの学びと研究が、みなさん自身にとって、そして世界にとって新しいものの発見をもたらすものであることを祈ります。

みなさんを歓迎する言葉として、シュルレアリスムの詩人アンドレ・ブルトンの言葉を贈りたいと思います。みなさんが自分の感受性を信頼し、出会う対象をみずからの感じ方を通して捉えるように。

「眼は野生状態で存在している」

みなさんのICUでの生活が、様々な経験と出会いに満ちた豊かなものとなるよう、願っています。

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