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2022年 新年大学礼拝

公開日:2022年1月14日

2022年1月12日(水)、大学礼拝堂において2022年新年大学礼拝が執り行われました。本年度も新型コロナウイルスの感染拡大防止対策として、間隔を保った着席およびZoom Webinarによるライブ配信も行われました。

北中晶子牧師(宗務部長代行)の司式で始まった礼拝では、参列者一同で讃美歌第411番「すべしらす神よ」のオルガン演奏を聴き、ヨハネによる福音書5章2-11節が朗読され、その後、岩切正一郎学長が年頭挨拶を行いました。

岩切学長は、新年を迎えるにあたり、今も終わりの見えない新型コロナウイルスの感染拡大や、多くの課題を「現代の戦闘」に例え、その解決へ向けて、良い未来を設計し、創っていくための、ヴィジョンと実践で豊かな年となるよう、願っていると語りました。そして、「私たちは、献学の理念を大切に、教育と研究の自由と喜びを確保し、常にグローバルな展望のもと、多様性のゆたかな世界を、そして平和を、つくることに、今年も、力を尽くしていきましょう。」とメッセージを述べました。

 

岩切学長新年挨拶全文

新年おめでとうございます。

「新しい」年、この新しいという言葉を口にするとき、私たちは未来への希望を重ねています。

私たちの時代の希望というのは、もちろん、これまで通りにやっていけば自分たちは順調に発展していく、という楽観的なものではありません。何かしなくては、考え方やライフスタイルや文明のあり方を変えなければ、大変なことになる、という危機感とひとつになった希望です。

今も、私たちを取り巻く状況は、終わりの見えない新型コロナウイルスの感染拡大、気候変動、自然環境、エネルギー、人の権利といった、その解決へ向けて取り組まなくてはならない多くの課題に満ちています。2022年が、良い未来を設計し、創っていくための、ヴィジョンと実践で豊かな年となるよう、願っています。

年末年始の冬休み、みなさんはどう過ごされたでしょうか。私は小説を読んでいました。一人称小説なのですが、そのなかの一場面に、恋愛で、相手に対してある決着をつけなくてはならない男の、心の駆け引きが描かれています。語り手は、そのことを次のような表現で考察しています。

この種の戦いは昔の戦闘のように数時間で終わるのではなく、明日も明後日も来週も終わらない現代の戦闘に似ている。人は全力を傾ける。いつも、最後の力をふりしぼらなければ、と感じるからだ。ところが一年たっても相変わらず、「決着」はつけられないのである。
(プルースト『囚われの女』(鈴木道彦訳))

「現代の戦闘」というのは、第一次世界大戦のことを指しています。「決着」、原文では« décision » という単語ですけれども、いつまでもだらだらと決着がつかない、という状態は、今の私たちにとっても、現代的であり続けています。

未来へ向けて何を決定していくのか、私たちは、一人ひとり、自分の特殊性を活かしながら、総合的なヴィジョンのもと、それを問い、議論し、選んでいくことが求められています。

去年は、ディッフェンドルファー記念館東棟の改修が終わりました。今年は、そこへ学生が再び集い、新しい設備を使って、多くの催しや交流が行われるでしょう。新館の建設も着々と進んでいます。現在、学生の国際交流は見合わせを余儀なくされていますが、再開にむけた準備は常に整っています。私たちは、献学の理念を大切に、教育と研究の自由と喜びを確保し、常にグローバルな展望のもと、多様性のゆたかな世界を、そして平和を、つくることに、今年も、力を尽くしていきましょう。

 

聖書朗読箇所: ヨハネによる福音書5章2-11節
讃美歌: 第411番「すべしらす神よ」