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本学の小林牧人特任教授らが神奈川体育学会・最優秀論文賞を受賞
公開日:2023年10月20日

本学の小林牧人特任教授(自然科学デパートメント)、清水安夫上級准教授、藤沼良典准教授、卒業生の千葉理⼈さん(ID21 メジャー:環境研究)、⾼橋佳乃⼦さん(ID22 メジャー:生物学、マイナー:環境研究)、⽵政潤さん(ID21 メジャー:生物学)と吉冨友恭教授(東京学芸大学)が実験を行い、その研究内容をまとめた論文「ニジマスによる⼈⼯芝競技場のゴムチップの摂取」 が今年度の神奈川体育学会最優秀論文に選出されました。
本論文は「Journal of Kanagawa Sport and Health Science」に投稿されたもので、体育施設(人工芝)と環境問題(マイクロプラスチック)を結びつけた研究についての論文です。
論文の概要:
近年、スポーツの分野では人工芝の競技場が設置されるようになってきた。人工芝の表層にはポリエチレン製の芝葉および競技者の衝撃吸収材としてのゴムチップが使われている。我々はこれまでに芝葉、ゴムチップが競技場からマイクロプラスチックとして環境中に放出されることを示した。前報では雑食性の魚類であるキンギョがゴムチップを摂取することを示したが、今回は肉食性魚類のニジマスもゴムチップを摂取することを明らかにした。このことは、スポーツ施設である人工芝競技場からマイクロプラスチックが放出された際、野生魚、食用魚に摂取される可能性を示唆している。これまでのスポーツ施設に関する研究は、競技者の技術向上あるいは安全のための研究が中心であったが、本論文はスポーツ従事者が環境に配慮することの重要性を啓発していることが高く評価された。
受賞のコメント(小林牧人特任教授):
今回、体育の学会において我々の環境科学研究が評価されたことをとてもうれしく思います。私は高校、大学でアメリカンフットボールを行い、ICUではアメリカンフットボール部の顧問を15年間務めました。また現在は趣味としてキックボクシングを行っており、つねにスポーツに関わってきましたが、すべてアマチュアです。研究としては、生物学・環境学・水産学が専門です。しかし私の頭の中では、スポーツ(人工芝)、環境学(マイクロプラスチック)そして水産学(漁業、養殖業)がつながっています。ですから私はマイクロプラスチックによる日本の生態系への影響だけでなく、漁業への影響も考えます。このような考え方をプロの体育学研究者の集団である神奈川体育学会に理解してもらえたことが何よりの喜びです。また優れた共同研究者、学生達に恵まれたことも大きな喜びです。
論文のPDFをこちらからご覧いただけます。
