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チャン, クリスチャン准教授によるイグ・ノーベル賞 受賞講演を開催
公開日:2023年12月22日

2023年12月14日(木)、トロイヤー記念アーツ・サイエンス館171号室にて、イグ・ノーベル賞教育学賞受賞講演会(教養学部長主催、教育研究所共催)が開催されました。受賞者のクリスチャン・チャン准教授が登壇し、受賞論文「退屈が退屈を生む:教師の退屈が生徒の退屈とモチベーションに及ぼす影響に関する経験サンプリング研究(原題:Boredom begets boredom)」と「退屈になりそうだから、退屈するだろう:退屈が予想されるだけで、講義中の退屈がさらに悪化する(原題:Whatever will bore, will bore)」についてICUの学生と教職員を対象に講演を行いました。 講演会には約80名が参加し、学生通訳者による英語から日本語への同時通訳もありました。

チャン准教授は、「半数以上の生徒が講義の少なくとも半分は退屈だと感じている」という過去の研究のデータを紹介し、また、近年はソーシャルメディアの発達により人々の集中力持続時間 (attention span) は減少していることを紹介しました。これらの発見を准教授自身研究の結果でフォローアップし、「講義が退屈であるという単なる予期だけで、その講義に対して感じる退屈がさらに悪化する」、「生徒は、教師が退屈していると認識すると、学習意欲が低下する」という予測結果を紹介しました。
講演は3つの助言を持って締めくくられました。教師に対しては、内容に対する熱意を学生に行き過ぎない程度に明示すること。学生に対しては、退屈するかもしれないという期待を調整すること、特に期待値を低く設定しすぎないこと。 最後に、会場全員に対して「自分のやっていることに意味と価値を見出しましょう!」と激励し、「そうでない場合は、次のことに進む前に三度考えてください」と述べました。

講演後の質疑応答には、多くの学生や教職員が参加しました。チャン教授の今後の研究から、退屈の背後にある心理状態についての考え、さらには論文の結果についての明確な疑問に至るまで、さまざまな質問がありました。終了後も多くの人が、チャン准教授と個別に話をしました。
会場の参加者に「授業で退屈を感じたことがあるかどうか」など、質問を投げかけながらのチャン准教授のユーモアのある講演会は、教職員、学生にとって、学びに集中するための工夫を知るよい機会となりました。