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ICU英語教育実践研究会(AFLT)が松阪市の中学校で英語ワークショップを開催

公開日:2024年12月3日

2024年11月27日、ICUの学生任意団体「ICU英語教育実践研究会(AFLT)」が、三重県松阪市とICUとの包括連携協定(2022年締結)にもとづき、松阪市立久保中学校にて中学1年生 6クラス(約220名)を対象に、英語ワークショップ「ICU AFLT English Workshop at Matsusaka」を開催しました。ICU AFLTは、地域の社会貢献に取り組むことに関心をもった教職課程の学生が2022年秋に発足させた団体で、現在は約20名のメンバーが所属し、藤井彰子准教授と辻田麻里准教授が顧問を務めています。

松阪市で開催するのが2回目となる今回のワークショップでは、AFLTに所属する教養学部1-4年生の8名が講師を務めました。

二部構成で実施され、第一部では、各クラスにて英語を使った活動「What do I need for school?」 を行いました。海外に住む同じ年代の生徒の学校生活について取り上げることで、海外の学校の様子や日本との違いを知ってもらうという内容です。具体的には、少人数のグループ単位で、3か国(アメリカ・台湾・インドネシア)に所在する学校に持っていくリュックの中身を準備します。このようなタスク型の教授法は外国語教育の分野で注目を集めていますが、実践例を本学学生が自ら考え、中学生向けに考案したところに特徴があります。中学生が年齢が比較的近い大学生と少人数で英語を使用することで、英語でのコミュニケーションに挑戦できること、それを通じて自らが発した言葉が通じる成功体験を積み、英語学習のモティベーションが向上することを目標としました。

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第二部では、本学学生8人によるリレー式講話を実施しました。大学生の海外での生い立ち、中高での課外活動、大学でのアルバイトや一人暮らしの経験など、中学校から大学に至るまでの多様な実体験を共有することで、生徒が自分の境遇や今後について考えるきっかけになることを期待しました。

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授業を履修した中学生からは「世界によって学校生活が全く違うことにびっくりしました」「少し英語が好きになりました」「英語がわからなかったけれど、ジェスチャーで少しだけ分かりました」「英語の授業を教えてくれてありがとうございました。とても楽しかったです」といった声が挙がりました。

また、講話で印象的だったこととして「失敗をしてもそれで終わりではないということ」「アメリカの学校の話」「誰でも初めは英語を言うことができないという話」「アメリカに行って最初は話せなかったエピソード」「大学生たちの海外の留学の話」「いま英語をスラスラとても上手に話せている人たちでも中学校の頃は英語が苦手だったこと」「勉強は難しくて嫌だと思うこともあるけどあきらめない。失敗は成功のもとと学んだので諦めずにしていこうと思った」といったコメントが寄せられました。

講師を担当した本学学生からは成果として、以下のコメントがありました。

  • 単に「英語を学ぶ」のではなく、「英語を使って」活動をしてみるということを意識してワークショップを組み立てたため、学校の教科としての英語というよりも、言語的側面、コミュニケーション手段として英語を感じることができたのではないかと思います。また「世界の学校生活の様子」というテーマの中でも「学校に持っていくもの」に注目し、同じ学年だとしても文化や環境によって学校生活が違うという異文化について触れられることができました。なお、教科書やネットに載っている情報ではなくオーセンティックな内容を教材に落とし込んだことで、リアルなイメージを生徒に伝えることができたと感じています。
  • 無事に英語ワークショップを開催することができ、大変嬉しく思っております。教職課程を履修し言語教育を専攻しているため、学んできたことを実践する貴重な機会となり、あらためて理論を実践する難しさを実感しました。しかし、それと同時に教えることの楽しさ・喜びを再認識することができました。何より生徒の皆さんが楽しそうにアクティビティに参加している姿を見ることができ、大きな達成感を味わっています。今回は、タスクを中心とした授業の組み立てにより、生徒の英語使用を促進できるようミーティングを重ねてきました。中学1年生が使える言語材料は限られていますが、その中で指示の出し方や見せ方を工夫して、生徒全員が参加できるアクティビティ作りを意識しました。年齢が近い私たち大学生が楽しそうに英語を使って授業をしたことが、生徒の皆さんにとって良い刺激となればと思っています。ワークショップの運営に先立ち、お力添えいただいた松阪市教育委員会、久保中学校、国際基督教大学総務グループ、日本国際基督教大学財団の皆様にあらためて感謝申し上げます。

中学生のこころに刺さる、充実した英語ワークショップとなりました。
なお、この活動は日本国際基督教大学財団(JICUF)および松阪市からの助成金に支えられています。

参考:プレスリリース 2024 年 2 月 21 日「三重県松阪市との連携協定 英語教育の理論から実践へ 教職課程の学生が松阪市立嬉野中学校で英語ワークショップを実施」