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ICU国際サマープログラム(ISPJ)が終了しました

公開日:2025年9月3日

今年7月に実施された International Summer Program in Japanese (ISPJ) が終了しました。今年度は7か国・地域から多くの海外学生が参加し、日本語モジュールでの集中的な日本語学習に加えて、ICU生と共に学ぶ日本研究モジュールを通じて学びを深めました。

日本研究モジュール

今年度の日本研究モジュールは 「Us and Them(ウチとソト)」 をテーマに開講されました。

「内と外」や「本音と建前」といった概念は、日本社会を理解する上でなぜ重要なのか。本プログラムでは、オムニバス形式による多様な分野の講義やディスカッションに加え、学外でのフィールドトリップを通じて、この問いを多角的に考察しました。

特に、次の二つの観点から「ウチとソト」を探究しました。

  1. 環境との関わりを理解する鍵としての「ウチとソト」 ― 日本の美術、哲学、宗教、生態学を題材に。
  2. 「内集団」と「外集団」を定義・正当化する手段としての「ウチとソト」 ― 歴史学、人類学の事例を通して
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(左)明治神宮へのフィールドトリップ (右)日本科学未来館へのフィールドトリップ
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(左)アートの授業の様子 (右)環境の授業の様子

日本語モジュール

日本語モジュールは、タスクベースの日本語授業と、毎週火曜日に開講される多彩な日本文化科目からの選択授業で構成されました。日本語授業にはICU生の授業アシスタントやボランティアが参加し、日本語ネイティブとの発話機会も多く設けられました。また、今年度は日本文化科目として以下の12コースを開講し、様々な角度から日本文化を体験し、理解を深める機会を提供しました。

  1. 日本のエコバッグ:風呂敷を使ってみよう
  2. 日本人の名前から漢字を学ぼう
  3. 若者言葉を使って日本の若者のように話してみよう!
  4. 季節の言葉で俳句を詠んでみよう
  5. 日本の伝統文化「書道」を学ぼう
  6. 日本の伝統的な武道、合氣道を体験しよう
  7. 日本の方言を学ぼう!
  8. 漢字でアートを作ろう
  9. 和製英語クイズで楽しもう
  10. オノマトペでパフォーマンス! 日本語の音を体で感じよう
  11. 遊びながら日本文化・日本語を学ぼう!
  12. 声優になってみよう!
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(左)日本語授業の様子 (右)日本語授業での図書館訪問の様子
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(左)日本の伝統文化「書道」を学ぼう (右)日本の伝統的な武道、合氣道を体験しよう

学生スピーチ

プログラムの最終日には、参加学生によるスピーチ発表が行われました。自身の体験や学びを振り返り、力強いメッセージを共有しました。

Jeremy Fernandez さん、米国 University of California, Berkeley 学生(日本語で発表)

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皆さん、こんにちは。今日でISPJが終わりましたね。
学生のみなさんに少し質問があります。
頑張りましたか。たくさん勉強しましたか。

今月はたくさんのことをしましたね。お疲れ様でした。
皆さんに会えて、本当に良かったです。ここでたくさんの友達ができるとは思っていませんでした。
みんなが力をくれたので、もっと頑張れました。授業の中で、課外活動の中で、全部の関係の中で、ありがとう。そのおかげで、安全な雰囲気を作ることができ、安心して学ぶことができました。
先生のおかげで、私たちは勉強を頑張ることができました。いろいろとありがとうございました。
UCEAPのスタッフのおかげで、難しいことも成し遂げることができました。重要な資源をくれてありがとうございます。ISPJでの経験は、私にとってありがたいものです。
日本語が上手になったし、東京の中で色々な場所を訪ねて、友達といい関係を作ることができました。ここで学んだことを使いながら、もっと日本人と日本語で楽しく会話をするつもりです。だからこれからも勉強を続けたいと思います。
ICUに来たことは絶対に忘れないと思います。この経験はいつまでも心の中に残ると思います。
もう一度、皆さん、ありがとうございました。これからも皆さんの活躍を祈ります。
ご清聴ありがとうございました。

林田 航輝さん、ICU生(英語で発表)

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皆さん、こんにちは。 林田航輝と申します。
ICU生を代表して、このようにご挨拶できることを光栄に思います。
今回、私はこのプログラムに3つの異なる立場から関わるという、非常に貴重な機会をいただきました。
まず 1つ目は、学生としての参加です。日本研究の講義やフィールドワーク、そして坐禅の体験は、いずれも日本の文化や歴史を改めて振り返るかけがえのない学びの機会となりました。特に、留学生との活発な議論や交流を通じ、自分の文化をこれまでと異なる広い視野から見つめ直すことができました。そして、この非常にタイ トで課題の多いスケジュールの中で、たった1時間の睡眠でもこうしてスピーチができるほどのレジリエンスが鍛えられたことは、思いがけない学びの成果であったといえましょう。
2つ目は、日本語のクラスで授業アシスタントとして関わらせていただいたことです。私の母語である日本語 を学んでいる学生をサポートすることは非常に意義深い経験でした。そして何より、多くの学生がとても流暢 な日本語を話している姿に、素直に感銘を受けました。自分の言語や文化が世界中の人々に愛されている事実 に、改めて誇りを感じました。
そして3つ目、最も大切だったのは、友人として皆さんと時間をともに過ごせたことです。初日の「ばか山チル」に始まり、毎日がかけがえのない思い出に彩られました。国際色の豊かな大学に通っているとはいえ、こ んなにも短期間に世界中の様々な人ととても深い関係性を築けたことは、これが初めてでした。少なくとも、 カリフォルニア中に無料で泊まれる場所ができたことは、僕のお財布にとっても嬉しいことです。
最後に、このプログラムをこんなにも刺激的で、洞察に満ち、価値あるものにして下さった全ての皆さまに、 心より感謝を申し上げたいと思います。振り返ってみると、3週間前には、数千キロ離れた場所で全く異なる人生を歩んでいた「彼ら(them)」が、今やかけがえのない思い出と友情で繋がった「私たち(us)」へと 変わったことは、なんとも感慨深い事実ではないでしょうか。
改めて、このプログラムに関わって下さった全ての方に感謝を申し上げたいと思います。また、皆さんのこれ からの人生が豊かで実りあるものになりますよう、心より願っております。
ご清聴ありがとうございました。

次年度参加者募集について

次年度の海外学生の参加者募集は、12月頃よりISPJプログラムWebサイトにて開始予定です。募集準備が整い次第次第、Webサイトを更新いたしますので、興味のある方はぜひこちらをご確認ください。