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第28回人権セミナー「感覚過敏の生きづらさと支援」を開催

公開日:2024年12月18日

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講師を務めた加藤 路瑛 氏

2025年12月9日、第28回人権セミナー「感覚過敏の生きづらさと支援」が開催されました。このセミナーは、人権にかかわる啓発活動や相談活動を行っている本学の人権委員会と人権相談員連絡会が、毎年世界人権デー(12月10日)の前後に開催しています。

今年度は講師に、株式会社クリスタルロード代表取締役であり、感覚過敏研究所所長の加藤路瑛氏を迎えました。加藤氏は12歳で起業し、現在は大学で障害学や心理学を学びながら、感覚過敏に関する研究・啓発活動を精力的に行っています。総務省 異能vationジェネレーションアワードやForbes JAPAN 30 U30 2023「世界を変える30歳未満」に選出されるなど、その活動は国内外で高く評価されています。

講演では、加藤氏が自身の体験を交えながら、感覚過敏とは何か、なぜ生きづらさにつながるのか、そしてどのような支援が可能かについて詳しく説明いただきました。感覚過敏は視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚などの感覚が過敏になり、日常生活に困難を生じる症状であり、病名ではなく診断や治療法が確立されていないことが特徴です。学校生活では、給食や制服、教室の光や音、匂いなどが大きな負担となり、不登校につながるケースも少なくありません。大人になっても職場や通勤で困難が続き、理解されないことが最大の苦痛となることが指摘されました。

こうした課題に対する支援として、補助具の使用(カラーレンズやイヤーマフなど)、環境調整、回避行動、そして合理的配慮の重要性が強調されました。特に、2024年4月から合理的配慮が民間事業者にも義務化されたことを踏まえ、診断名の有無ではなく「困っているかどうか」を基準に支援を考えるべきだと述べました。また、従来の「医学モデル」から、社会の仕組みで解決する「社会モデル」への転換が必要であるとし、誰もが生きやすい環境を整えることの重要性を訴えました。

ICUは世界人権宣言を重んじる大学として、人権侵害のない教育・研究・就労環境を整え、構成員が安心して過ごせるキャンパスの確保を基本方針の一つとして掲げています。具体的なハラスメント防止策について、一層理解を深める講演となりました

なお、ICUではハラスメント被害にあったときに相談できる方法をこちらにまとめています。ご参照ください。