NEWS

ドナルド C. ワース記念本部棟(旧理学館)を改修・竣工

公開日:2026年6月29日

歴史ある「理学館」が「大学事務棟」へ完全刷新。新たな大学の中枢を担う近代的なオフィスへ変遷

2026年6月29日、ドナルド C. ワース記念本部棟への事務機能移転に伴う改修工事の竣工式が執り行われました。 半世紀以上の歴史を持ち「理学館」として親しまれてきた建物は、本館改修期から現在にいたるまでの暫定的な教室としての役割を終え、大学の中枢を担う近代的なオフィスへと生まれ変わりました。

式典には関係者ら計33名が参列し、北中晶子大学牧師の司会のもと、讃美歌67番「よろずのもの」の合唱、聖書「詩篇127篇1節」の朗読に続き、北中牧師による説教が行われました。説教では、この建物が、ICUの自然科学分野の教育研究棟として出発した当初から、未来への余白を意図的に残して建築されたユニークな建物であり、役割が変わるごとに改修を重ね大切に使われてきたことの歴史的経緯に触れました。こうした余白を残しながら、学生一人ひとりのため、小さな日常の中からこそ平和を作り出す大学として、新事務棟のこれからの歩みと大学の未来への祈りが厳かに捧げられました。続いて、設計・監理および施工を担当した株式会社エスケークリードの高橋正晴代表取締役社長と、本学の中嶋隆常務理事(財務担当)が竣工の辞を、岩切正一郎学長、および竹内弘高理事長より、それぞれ挨拶が述べられました。最後にエスケークリードより大学へ記念品贈呈も行われました。

その後、出席者は2階ラウンジでの記念写真撮影と見学会に臨み、残された中央吹き抜けの意痕やレンガ壁とともに、全面更新された空調・照明など近代的なオフィス環境の全貌が披露されました。



理学館から本館代替教室、そして大学事務棟へ

1966年に完成し、2020年度にDOCOMOMO JAPANの一つに選定された理学館は、長年自然科学教育の拠点として親しまれてきましたが、その機能は2022年完成のトロイヤー記念アーツ・サイエンス館(T館)へ移管されました。その後、2024年度の本館大規模改修期には、暫定的な教室棟として活用され、教室としての役割を終えた理学館は、2026年1月より本格的なオフィス化への再改修工事をスタートさせました。また、工事着工前には部署横断型の移転プロジェクトが発足。学生ファーストでより利便性の高い事務運営・窓口業務、ならびに職員のウェルビーイング向上を目的とした、旧理学館の改修工事は、大学事務機能を集約した建物として完全刷新を遂げました。そしてこのたび、名称をドナルド C. ワース記念本部棟と新たにし、2026年7月21日より各建物にあったオフィスの大部分が移転します。



「繋がる(Connect)」を体現するオフィス

今回の改修にあたり、核として掲げられたコンセプトが「繋がる(Connect)」です。本棟は、半世紀以上の歴史を刻んできた「記憶や価値(歴史)」と、これからの時代に必要な「先進的なワークプレイス(未来)」を融合させています。さらに、空間の壁を取り払うことで、部署の垣根を超えた「人と人の繋がり」を強化。教職員同士、そして学生と職員が、ICUの伝統である「ダイアログ(対話)」をより活発に、有機的に創造性を発揮できる場としての役割を担います。



理学館建設を主導したドナルド・C・ワース名誉教授の精神を継承

新事務棟の名称に冠されたドナルド・C・ワース名誉教授(1923‒2007)は、イェール大学で博士号を取得後、1954年に来日したICU創立期を支えた物理学者であり、キリスト教的使命感を併せ持つ教育者です。設備が乏しい中で学生と共に実験装置を自作して物理学の基盤整備に取り組み、1960年代には資金難や学生紛争などの困難を乗り越えて1966年の旧理学館の完成へと導きました。旧理学館はワース博士の献身の結晶です。

その後は教養学部長として大学の発展や交換留学制度の整備に尽力し、1988年には勲四等旭日小綬章を受章。かつてワース博士が注いだ情熱が、時代を経て姿を変え、これからの大学運営を支える中心地へと引き継がれます。

名称ドナルド C. ワース記念本部棟 (旧名称:理学館)
竣工1966年12月(築60年)
主任設計者稲富 昭
規模地下1階、地上3階、塔屋1階
構造鉄筋コンクリート造(RC)