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アテネ・デモクラシーフォーラム2026に本学学生が参加しました
公開日:2026年10月23日

2026年9月29日から10月1日の3日間、ギリシャ・アテネにてアテネ・デモクラシーフォーラム2026(Athens Democracy Forum/ADF)が開催され、ICU教養学部4年生の斎木理世さんと山田小夜子さんが参加しました。
このフォーラムは、非営利団体Democracy & Culture Foundationが主催し、The New York Timesとの共催(in association with)のもと、民主主義の原則と基本的自由を守り持続させるための戦略を探るとともに、世界的な課題や分断に対して問題提起を行うことを目的としています。
今年のテーマは「Why Democracy?(なぜ民主主義なのか?)」。激変する社会において従来型の民主主義制度が直面する限界や硬直性に正面から向き合い、「21世紀の目的に応えるために民主主義はどう進化すべきか」を問い直しました。フォーラムでは、安全保障の経済学、権威主義の予測、労働の未来、外交の新たなツール、市民参加の推進(Supercharging Civic Engagement)といったセッションが設けられ、変化に適応し成果をもたらす持続可能な民主主義システムの再設計について議論しました。
ICUが加盟するGlobal Liberal Arts Alliance(GLAA)は、世界30の加盟校から学生をADFに招待しており、今年は選抜された最大24名の大学生がアテネに滞在し、夏の事前課題や現地での事前準備・振り返りセッションを含め、第一線で活躍する専門家と対話し、ユースならではの視点で議論を深めました。
【斎木理世さんのコメント】
私は国際関係を専攻しており、現在の国際社会において、大国による武力行使や各国の軍事力増強が進んでいることに問題意識を持っています。これまで民主主義を当然のように支持してきましたが、民主的な選挙によって選ばれた政治指導者が国際秩序に大きな影響を及ぼしている現状を目の当たりにし、民主主義は本当に望ましい政治体制なのかという疑問を抱くようになりました。そこで、アテネ・デモクラシーフォーラムへの参加を通じて、民主主義の意義と限界について考え、現代の国際社会において民主主義が果たす役割を改めて問い直したいと考えました。
今回のフォーラムで特に印象に残ったことは、大きく二つあります。一つ目は、民主主義が必ずしもすべての国にとって普遍的かつ最適な政治体制であるとは限らないということです。同じプログラムに参加した学生との対話の中で、アフリカ出身の学生が、西洋で発展してきた伝統的な民主主義のあり方は、多様な民族から構成されるアフリカ諸国の実情に必ずしも適合しないと指摘していました。また、こうした意見はその学生に限らず、フォーラムでのディスカッションでも、民主主義が抱えるさまざまな問題点が指摘されていました。今回の経験を通じて、各国の歴史的・社会的背景や固有の事情を考慮せず、民主主義を一方的に押し付けることの問題点に気づきました。
二つ目は、民主主義と権威主義を、秩序と混乱の対立として単純化することの限界です。今回のフォーラムのテーマは「Building Order out of Chaos」でした。参加前は、民主主義が国際秩序の形成に貢献する一方、権威主義が混乱をもたらすという対立の構図を意識していました。しかし、フォーラムでの議論を通じて、民主主義国自身も国際社会に混乱をもたらし、既存の秩序を不安定化させる場合があることを改めて認識しました。フォーラムでは、民主主義がいかに秩序の形成に貢献できるかという視点からの議論が多く見られましたが、それと同時に、民主主義がどのような混乱をもたらし得るのか、また、その問題点をどのように改善できるのかについても考える必要があると感じました。
これまで民主主義を当然のものとして捉えてきた私にとって、今回のフォーラムで多様な価値観や視点に触れたことは、自分自身の考えを批判的に見つめ直す貴重な機会となりました。このような貴重な学びの機会を提供してくださったICUの先生方・職員の皆様、そして研修の日程を全面的にコーディネートしてくださったGLAAの皆様に、心より感謝申し上げます。
【山田小夜子さんのコメント】
私がアテネ・デモクラシーフォーラム2026に参加するきっかけとなったのは、大学2年生の時に参加したLearnUsプログラムです。LearnUsとは、本学と韓国の延世大学が共同で実施しているプログラムで、両大学の学生が歴史認識問題をはじめとする日韓の二国間問題について、対面で学びます。授業だけでなく、休み時間やフィールドワークなどを通して交流することで、普段は話す機会の少ない敏感なテーマについても深く学ぶことができました。
この経験から、日本と韓国だけでなく、中国の学生も交えて歴史認識問題や政治について話し合える場が必要だと考え、自らディスカッションイベントを日本で開催しました。しかし、日本に留学している中国人学生と中国現地の学生との間には、考え方に大きな違いがあります。中国現地の学生と、LearnUsのように率直で深い対話をすることは可能なのかと何度も考える中で、異なる政治体制の下で同じような対話ができるのかという疑問を持つようになりました。
そのような問題意識を持って参加したアテネ・デモクラシーフォーラムでは、民主主義国家だけでなく、異なる政治体制を持つ国の教授や学生とも意見を交わすことができました。私はこれまで、民主主義が最も理想的な政治体制だと考えていました。しかし、中国・復旦大学の教授による「民主主義は現在、世界が直面する問題に対処しきれていない」「中国の政治体制の方が効率的に物事を進められる」という発表に賛同する学生が多数いたことに驚きました。
また、ブラジル出身の学生からは、経済的に困窮し、十分な食事さえ取れない状況では、民主主義を支持することは難しいという意見を聞きました。一方、パキスタン出身の学生は、自国では話すことのできない問題についてフォーラムで自由に議論できること自体が、民主主義の強みだと述べていました。
このように、異なる背景を持つ人々との対話を通して、政治体制に対する考え方は国や個人によって大きく異なることを実感しました。民主主義を一方的に他国へ押し付けるのではなく、それぞれの国の歴史や社会、価値観を理解し、尊重することの重要性を学びました。私自身も数少ない日本からの参加者として、日本の民主主義の歩みや現在の課題について、自分の考えを共有することができました。
今回のフォーラムを通して、民主主義とは何か、そしてすべての国にとって民主主義が最適な政治体制なのかについて、改めて深く考える貴重な機会となりました。このような機会を与えてくださったICUの先生方、職員の皆様、Global Liberal Arts Alliance (GLAA) の先生方、そして共に参加した学生の皆様に心より感謝申し上げます。
