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本館の改修プロジェクト改修工事 竣工式および見学会
公開日:2025年4月9日

3月27日(木) 、2024年4月から始まった本館の改修工事が完了し、竣工式が執り行われました。
大学本館は、1944年に中島⾶⾏機三鷹研究所の設計本館として建設され、1953年に建築家 W・M・ ヴォーリズによる全面改修を経て完成。その後、現在まで80年以上にわたりICUの中⼼的な建物として、在学生、教職員、同窓生などから大切に使われてきました。今回の改修工事は、国際基督教大学の始まりとなった建物を、後世に長く残してゆくための改修プロジェクトとして、以下の3点を行いました。
- 近代建築の価値を後世に残すための内装・建具の更新
- 学生の安心安全を守るためのIs値0.7を確保した耐震改修
- 快適な学生生活が送れる環境を整備するための設備更新
築後80年を超え、複数回の改修を経て現在に至る歴史的価値を今一度見直し、W・M・ヴォーリズのモダニズム建築の意匠の復元をしつつ、一方、経年による劣化箇所の修繕を実施、空調・照明・舞台機器などは最新の設備に入れ替え、耐震改修も行いました。
竣工式では、北中晶子牧師が祈祷したのち、大成建設株式会社 中嶋有孝氏、江里口靖久氏、本学中嶋隆財務理事が竣工の辞を述べ、1941年着工当時の美しい姿を残すだけでなく、献学以来すべての学生が授業を受けた建物を次の学生へ手渡すための大事な工事であったことが強調されました。つづいて北中牧師より式辞を、本学の岩切正一郎学長、竹内理事長より祝辞を順に述べ、あらためて関係者へ感謝を伝えました。

見学会
竣工式のあとに行われた見学会では、岡田麻友子氏(大成建設設計担当)と樺島榮一郎氏(青山学院大学教授)より、細部にわたり丁寧に復元・改修された内装や外装について解説がありました。
1F 中央エントランスホール
本館の顔である1Fのエントランスホールは保存重点箇所として改修を行いました。腰壁や巾木、床に用いられているテラゾーは極力手をかけずに保存しています。また、天井は1941年建設当初からある中島飛行機時代の直天井を表し、1953年の改修で新設されたヴォーリーズ天井を保存・復元することで異なる時代の意匠を同居させています。

1F 西側エントランス
西側を一部減築し、新たにエントランスを設けたことで隣接するT 館とのつながりが生まれました。エントランス内では本館の歴史的な資料とともに建物を解説するパネルの設置が予定されています。

QUIETラウンジ
旧学長室であるこの部屋は、ヴォーリーズ設計当時の意匠を保存・復元しています。木建具やサッシには手を加えず、床はヴォーリーズ改修当時に使用されていたとされるタイルを新たに採用しています。

ヘリテージルーム
元々男子トイレだったこの空間には新たにソファなどの家具が置かれ、談話室へと生まれ変わります。当時のタイルもクリーニングを行い保存しています。

小音楽ホール
パイプオルガン演奏用の小音楽ホールはオルガンや音響に配慮した改修設計を行いました。その中でも演奏音が乱反射するように設計された斜め天井は意匠的にも特徴のある設えになっています。

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概要
設計:大倉土木/株式会社一粒社ヴォーリズ建築事務所(改修増築)
施工者:大倉土木/大成建設
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