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ICUの学生がミドルベリー大学が提供する夏期インターンシップに参加し、天龍村(長野県)で活動を実施しました

公開日:2025年8月25日

2025年6月25日(水)から7月22日(火)までの4週間、ICUの協定校であり、ICUに日本校をかまえる米国ミドルベリー大学が今年から長野県天龍村で提供するインターンシップが実施されました。参加したのは、ICUで1年本科生(One-Year-Regular; OYR)として1年間の留学を終えたミドルベリー大学生2名、ICU生2名、そして米国から来日したミドルベリー大学生2名の計6名。天龍村を拠点に、4週間の活動を行いました。

 

主催者からの声


天龍村は、小さな小さな山あいの村です。日本で二番目に過疎化が進んでいる自治体で、人口の減少と高齢化が深刻な課題となっています。人口約1,200人のうち、平均年齢は64.6歳、高齢化率は62%。つまり、路上ですれちがう村人の3人のうち2人は、65歳以上の高齢者です。
数字だけを見ると「課題を抱えている場所だ」と思えるかもしれません。でも、この村の人たちはこう自己紹介します――
「人口1,200人のうち、700人以上の『人生の先輩』(65歳を超えた皆さん)が、幸せに暮らし続けられる村です。」

天龍村では、地域おこしの活動が盛んに行われています。これまでに、ICUのサービス・ラーニング・センターが主催する Japan Summer Service Learning(2016〜2023)を受け入れ、また、ミドルベリー大学日本校が提供する Global Partnership for Sustainability (2017〜)のOYR生を受け入れるなど、親交が続いてきました。そして今年、新たにミドルベリー大学主催で夏のインターンシップがスタートしました。

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インターンシップのテーマは「暮らすように学ぶ」。今年の学生は、天龍村が現在取り組んでいる「ていざなす」のプロモーション活動に参加しました。
「ていざなす」は、「信州の伝統野菜」にも認定されている特産品で、長年にわたり地元の人々に愛され、育まれてきました。大きいものでは30cm、重さ450〜650gにもなるそうです。しかし近年では、生産者の高齢化が課題となっています。

こうした中、「ていざなす」の生産を持続可能なものにするために大学生にできることは何か――。学生6名のチームがたどり着いた答えは、まず自分たちが「ていざなす」と天龍村のファンになること。そして、その活動をインスタグラムブログを通じてファンとしての視点で発信することでした。また、「暮らすように学ぶ」を実践するため、村の小中学校で英語の授業をお手伝いしたり、農作業に参加したり、村のさまざまな人々と交流したりしました。さらに、生産者と消費者をつなぐため、東京で「ていざなす」を扱う商社を訪ねてPR活動を行い、三鷹のレストランを回って販路開拓にも挑戦しました。

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左:ていざなすのみそ焼き、右:肥料を手作りする様子

この取り組みは、今後も継続して行われる予定です。今年の参加者の皆さん、本当におつかれさまでした。来年のグループに今年の成果がどのようにつながるのか、そして学生たちの取り組みが村の成長にどう貢献していくのか、これからの未来にも期待が広がります。(ミドルベリー大学日本校 江田 早苗 准教授)

本プログラムにご協力いただいた皆さま


天龍村役場地域振興課、天龍村ていざなす生産者組合、有限会社天龍農林業公社、合同会社ゆずすけ、西岩商事株式会社(以上、敬称略)

 

参加学生からの声


高田理名(ICU教養学部3年 メジャー:法学 マイナー:環境研究): 天龍村の魅力は、一度訪れてみればよくわかります。今回一ヶ月弱滞在させていただいたことで、その魅力を形づくっている人々や自然、歴史、そして地元の方々の努力など、一口に表しきれない素晴らしさを感じられたように思います。初めて会う学生とともに、どのように自分たちが天龍村に貢献できるのか分からないままプログラムが始まりましたが、「自分たちの世代が情報にアクセスしやすくするには?」「村の人々が外とのつながりを感じるには?」など、仲間との話し合いを重ねる中で疑問や課題が具体的になり、限られた時間の中でもできる活動を実行できたと感じています。ICU・ミドルベリーと天龍村のつながりが今後も続いていくことに、これから少しでも貢献できればと思います。貴重な機会をいただき、本当にありがとうございました。そして、とても温かく受け入れてくださった村の皆さまに感謝申し上げます。

薬袋吹喜音(ICU教養学部3年 メジャー:社会学 マイナー:哲学・宗教学)
私たちの夏は、行ったことのない天龍という村、全員がはじめましての状態から始まった共同生活、見たこともない「ていざなす」...から始まりました。全てが新しく、まっさらな状態から自分たちで方向性をきめることは、簡単な事ではありませんでした。それぞれの文化的背景も性格も異なる私たちが、日々の小さな衝突を乗り越えながら、毎日笑って過ごせたのも、天龍村というのびのびとした環境、そして、新参者の私たちを気にかけ、可愛がってくださる天龍村在住の皆さまのおかげでした。天龍村の農家の方々の愛情を目いっぱい吸収して育った「ていざなす」は、肉厚なのに、やわらかくてジューシーで、ナスが苦手なメンバーも大好きになりました。天龍村の滞在経験から、モノとして目の前にある野菜ひとつをとっても、背景には農家の方々の思い、願い、誇りが多くつまっていることを体感しました。モノがあふれる時代ですが、手に取るひとつひとつを想像を使って、大切に、感謝して使っていきたいと感じました。

写真:いずれも薬袋吹喜音さん撮影

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