WHAT'S
LIBERAL ARTS?
リベラルアーツを体験する。

問い

一瞬とはどのくらいの
長さなのか。

教授陣による 回答②

「ゼノンのパラドックス」 から「一瞬」を考える

「ゼノンのパラドックス」から「一瞬」を考える

飛んでいる矢はいかなる「瞬間」でも静止しているから、
飛んでいる矢は静止しているはずである。。。

時間の流れは、ごく当たり前のものように思われるが、ひとたび考え出すと奇妙なものでもある。古代ギリシャで知られていた「ゼノンのパラドックス」を聞いたことのある人は多いだろう。飛んでいる矢はいかなる「瞬間」でも静止している。だから、飛んでいる矢は静止しているはずである。。。というわけである。この問題は「瞬間」をどうとらえるのかという問題と関係している。

人類が「瞬間」に到達するには長い時間が必要であった。ようやく「瞬間」に迫ることができたのは、17世紀にニュートンとライプニッツによって、今日言うところの「微積分法」が確立されてからである。ニュートンが、その主著「自然哲学の数学的原理(Philosophiae Naturalis Principia Mathematica)において、「瞬間的な増加量あるいは減少量(earum incrementa vel decrementa momentanea)」というとき、「瞬間」に対する理解は、それ以前の理解に比べて飛躍的に進化していた。「微分」は「瞬間」へのアプローチであり、「積分」はその「瞬間」が積みあがってどのように有限の時間へとつながるかを明らかにするアプローチというわけだ。

「瞬間」あるいは「瞬間における変化」を表す手段を手に入れた人類は、これを駆使してあらゆる自然現象の解明に乗り出す。今では、ミクロな世界からはるか広大な宇宙に及ぶ多くの事柄が理解され、あるいは、その理解を目指して研究が進んでいる。宇宙は、いまから約138億年前に「ビッグバン」と呼ばれる大爆発によって始まったと考えられている(予想される宇宙の寿命と比べると、現在138億歳の宇宙はまだまだ十分若い、というか生まれたてと考えられるらしい)。文明が始まってせいぜい数千年、ましては人の一生など宇宙の年齢に比べれば「一瞬」といってもよい。そのようなはかない人間が、「一瞬」とて変化をやめないこの宇宙への挑戦を続け、その悠久の歴史に迫るということに、深く感動を覚える。

さて、「ゼノンのパラドックス」についてももう一つ触れておこう。20世紀も終わりに近づいたころ、ゼノンは量子力学と出会い、現在「量子ゼノン効果(日本語で言えば、「だるまさんが転んだ」効果?)」という形になって21世紀の最先端科学の中に蘇っている。

今まで「当たり前」だと思っていたことは、本当に当たり前?
その当たり前は誰が決めたのか、皆にとってそうなのか。
自分の先入観や偏った考えで、当たり前を決めていないだろうか。
見方が変わり、問いが深まり、今まで気付かなかった価値が見出されていく。
そんなICUのリベラルアーツから、あなたは何をつかみ、どんな化学反応を起こしていくのでしょうか。
あなたの可能性を大きく広げてください。

ICUは、
あなたの想定外の興味に、
想像以上の学びで応えます。
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