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ディッフェンドルファー記念館東棟改修工事 竣工式および見学会
公開日:2021年12月8日

11月26日(金)、2021年4月から始まったディッフェンドルファー記念館(D館)東棟の改修工事が完了し、竣工式が執り行われました。
今回の改修工事では、「強く・用い易く・美しく」をコンセプトに、卒業生の思い出を継承し、W・M・ヴォーリズのモダニズム建築の意匠の復元をしつつ、一方、経年による劣化箇所の修繕を実施、空調・照明・舞台機器などは最新の設備に入れ替えました。

竣工式では、北中晶子牧師が「ICUに開かれたコミュニティをつくろうとした先人達の願いを受け継ぎ、これからも人と人との交わりの場所として、誠の共同体の育つ場所として、末長く貢献するものであるように」と祈祷したのち、学生部長加藤恵津子教授と、本学卒業生でD館東棟修繕検討委員会委員である岸佑氏(ICUアジア文化研究所研究員)および樺島榮一郎氏(青山学院大学教授)が竣工の辞を述べ、関係者に感謝を伝えました。1958年の建設当時の美しい姿を残すだけでなく、多様な背景の学生の集う学生会館を次の60年先へ手渡すための大事な工事であったことが強調されました。つづく説教では、北中牧師が「本当のD館東棟の恩恵は、偶然の出会いが人生の糧となるように想像を超えたものであり、豊かな使命を果たすよう神の手にゆだねたい」と語りました。
その後、祝辞を本学の岩切正一郎学長、中嶋隆財務理事、竹内理事長が順に述べ、D館東棟が新しい命を得て学生とともにある日が迎えられたことへの喜びを語り、無二の友を得る場所となることを願い、関係者へ感謝を伝えました。その後、理事長より設計・建設関係者へ感謝状を贈呈いたしました。
竣工式のあとに行われた見学会では、設備が一新されたオーディトリアム(講堂)で音響や映像が披露され、歓声があがりました。また、株式会社一粒社ヴォーリズ建築事務所の佐々木真氏により、細部にわたり丁寧に復元・改修された内装や外装について、解説がありました。
オーディトリアムでは、音響に優しいコペンハーゲンリブとよばれるデザインの木の壁、天井の網代張りや椅子が残されました。一方、手動の舞台装置がすべて電動になり、音響、映像、同時通訳機器、照明、空調も最新の設備に置き換えられました。また、3階の熱だまりを解消すべく、空調機器を設置しました。
学生団体の部屋には個別に空調設備が設置され、部屋ごとに温度調整が可能となりました。竣工当時は珍しかったベニヤ板の壁は復元され、窓ガラスは、竣工当時のデザインを尊重した、細身のアルミ枠を使用した強化ガラスに取り替えられました。地下の生花室でも、節目の入った木の壁や天井の網代張りは保存され、裸蛍光灯だった照明は、雰囲気に合う照明がつきました。
学生・教員の交流の場として親しまれた1階の暖炉の部屋はPタイルの床や大理石貼りの暖炉はそのままに、空調を新設。ラウンジから眺めることができる中庭のモニュメント壁も、特殊な目地や型枠にコンクリートを流し込んだときにできた木目の模様を保存することを目的に、ペンキを塗ることはせず、汚れを落として板目がはっきりと目立つようにしてから、撥水効果を高める塗装をするなど、丁寧に修繕されました。
フレッシュベーカリーすまいるの販売所や卒業式のガウンの返却場所などに使われていた食堂側の部屋には、南西側の大学食堂に通じる大きなガラスの自動扉が設置されています。
また、建物のバリアフリー化のため、西側にエレベーターがつき、多目的トイレも広く改修されました。
多くのICU生の思い出がたくさんつまったD館東棟に在学生が多く集い活気あふれる学生会館としてよみがえりました。

概要
設計監理者:株式会社一粒社ヴォーリズ建築事務所
施工者:松井建設株式会社