卒業生の声

*肩書はインタビュー当時のものです。

*肩書はインタビュー当時のものです。

グーグル合同会社勤務 同窓生座談会(後編) 

福代 桃子(ふくよ ももこ)
2015年 教養学部アーツ・サイエンス学科卒業(心理学メジャー、生物学メジャー)
シロー マーク 亮(シロー,マーク リョウ)
2015年 教養学部アーツ・サイエンス学科卒業(政治学メジャー) 2016年 アベリストウィス大学大学院(Aberystwyth University、イギリス) 国際政治学安全保障専攻修了
ゲレーロ・マウリシオ・ホセ・カルロス
2016年 教養学部アーツ・サイエンス学科卒業(グローバル研究メジャー)

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インターネットを軸としたサービスと製品で、世界に次々とイノベーションを起こすGoogle。ITシーンを牽引し続けるグローバル企業に新卒で入社した3人の卒業生に、ICUで培い、現在の仕事で生きている力について話を聞きました。

"No, but..."ではなく"Yes, and..." -ICUとGoogleで重なり合うもの-

Googleに感じた、ICUと同じ空気感

―――Googleに入社を決めた理由や、実際に勤務してからの印象を教えてください。

ゲレーロ 自分の中での就職活動の軸が「どんなことができるか」よりも「どんな環境で働けるか」でした。説明会やOB訪問で話を聞く中で、Googleの社員の方が知的好奇心にあふれていて、さまざまな考え方を尊重する自由な雰囲気を感じたこと、そしてポジティブな未来がイメージでき、こういう環境で働きたいと思いました。知的好奇心、自由な雰囲気など、ICUに惹かれた理由と非常に似ています。

福代 会社の雰囲気が自分には合っているのではと私も思っていました。ICUのキャンパス内で開催された合同企業説明会で話を聞き、エントリーしたのですが、面接やグループディスカッションがとても楽しかったのを覚えています。社員の方だけでなく、周りの学生も「面白い人が多い」と感じていました。

シロー 入社の理由を考えた時に思い出すのは、ICUのオープンキャンパスを訪れたときのことです。制服のない高校に通っていた私は、いつもどおりといった感じでサンダルを履いて参加したのですが、まわりは制服の高校生ばかりでした。その時、通りがかりのICUの先輩に「君、絶対ICUに入るよ」と言われたことをすごくよく覚えています。就職活動を始めたとき、先に入社していたカルロスに社内の雰囲気を聞いて、「サンダルで出社できる(笑)」と聞いたとき、「ここだ」と直感しましたね。

ゲレーロ もちろんアカデミアとビジネスなので相違点はありますが、ICUとGoogleは本質的に似ている部分があると感じています。私自身も大学での知識やスキルを発展させることで、クライアントの課題解決に貢献できていると実感しています。Googleの面白い点は、社員の経歴が本当に多彩なこと。会社を経営した経験を持つ人や、有名なアーティストのバックダンサーだった人など、意外なキャリアを持つ社員に出会う機会はとても多いです。

シロー 私の同期だと、博士課程で隕石の研究をしていた人や、ジャズシンガーだった人もいます。全く別の多様な個性やスキルが、互いを認め合いながらシナジーを起こしているのがGoogleであり、だからこそイノベーションを生み出せるのだと思います。

福代 仕事に対してみんながわくわくしていることも、Googleの強みの一つだと思います。入社前、もう一つの企業からも内定をいただいており、Googleの人事の方にずっと相談していました。その中で「桃子さんの人生がハッピーになる決断をしましょう」と言ってくださったのが、とても印象的でした。単なる仕事ではなく、幸せな毎日を送るための要素として仕事を捉えていること、そういう人が働いている会社という点に大きく惹かれたのを覚えています。

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ICUでの学びを生かし、それぞれの未来へ

―――今後の目標を聞かせてください。

福代 自分でゼロからプロジェクトを立ち上げられるようになりたいと思っています。そのためにはさまざまなスキルが必要です。その点、Googleにいると並行して複数のプロジェクトに関与するチャンスがあります。新しいチャレンジを繰り返すことで、プロジェクト立ち上げに必要なスキルやノウハウを蓄積していきたいです。今の業務内容は、目の前の問題解決がメインですが、ゆくゆくはもっと長期的なビジネスのサポートをしていければいいなと思っています。

ゲレーロ 個人的には、具体的な目標を掲げることはあまりないんです。ICUやGoogleを選んだ時もそうで、「何がしたい」ではなく「どんな風に生きたい」という観点で判断をくだしてきました。ただ、ずっと学び続けていきたいとか、目の前のことに全力を尽くしたいという姿勢はおそらくこれからも変わりません。もともと両親はペルー人だけど日本で育ったということもあって、日本から離れた国で活動することも容易に想像できますが、それすらも「絶対に日本を出なければ」と固く決めているわけではありません。あくまで自然に、自分らしく生きていければいいなと思います。

シロー 私も具体的にゴールを決めているわけではありませんが、常に漠然と「次は何を学ぼうかな」と考えています。今は医療に興味が向いていて、ゲノム編集を勉強して遺伝子学の知識をつけたいと考えています。学んだことがビジネスにつながればうれしいですね。きっと人生を通じてインプットとアウトプットを繰り返していくのかなと思います。

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―――ICUで学ぶ後輩やこれからICUを受験しようとする高校生へのメッセージをお願いします。

シロー ICUではもちろん何かの分野を深く学ぶことも可能ですが、リベラルアーツ大学なので、さまざまな分野を学び、物事の「学び方」を体得して欲しいと思います。自分は面白いと思っているのに、周りには関心を抱いてもらえない。そんなことでもICUなら共感し、一緒に考えてくれる人が必ずいます。知的好奇心が旺盛な人や、曖昧なことを突き詰めて考え議論したい人には、本当に素晴らしい環境だと思います。

ゲレーロ ICUで、リベラルアーツやクリティカルシンキングといった、物事を多角的かつ批判的に捉える姿勢を身に付けると、どうしても高校生のときにベストだと感じた自分の選択を見つめ直したり、自分について色々と考えてしまうことがあります。ICUでの学生生活を振り返ると、色々と迷い、考え、すごくタフな時間だったと思います。でも考えた分だけ、学んだことが絶対に多いはずです。他の大学の学生に比べて、何か一つの学問にかけられる時間は少ないかもしれません。しかし、トレードオフで偏りのない知識が将来役に立つと信じていますし、生きる上で重要な力を得られたと感じています。

福代 GoogleとICUには類似するところが多く、所属する人が持っている根本の考え方についても共通していると言えます。Googleの社員が共通して持っているのが、"No, but...(いや、そうじゃなくて...)"ではなく、"Yes, and...(そうだね。あ、こういうのもあるよ...)"というマインド。ICUもそうでした。多様な価値観との出会ったとき、異なる価値観を受け入れることが何よりも大切です。「間違っている」はありません。先生方や、学生同士の対話を通して、さまざまな価値観に触れ、自分なりの気付きを重ねていってほしいですね。

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<プロフィール>

福代 桃子(ふくよ ももこ)
Cobequid Educational Center (カナダ) 卒業 心理学メジャー、生物学メジャー
語学留学のため、高校3年間はカナダで過ごす。卒業後、医療の道を目指して2011年9月にトロント大学へ進学。その後、家庭の事情により日本へ帰国することになり、2012年9月にICUへ編入。心理学と生物学をダブルメジャーし、卒業論文は「第二言語処理における脳活性状態」について執筆。

シロー マーク 亮(シロー,マーク リョウ)
南山国際高等学校卒業(愛知県) 政治学メジャー
イギリス人の父と韓国人の母をもちながらも、日本の教育制度の下で学び、ICU特別入学選考を経て2011年4月に教養学部に入学。在学中は、学生の履修相談に応じる学生アドバイザー(IBS: ICU Brothers and Sisters)として活動。卒業論文は「コペンハーゲン学派とウェールズ学派 : 安全保障論の理論的発展」について執筆。

ゲレーロ・マウリシオ・ホセ・カルロス 
静岡県立三島南高等学校卒業(静岡県)グローバル研究メジャー
ペルー人の両親のもと、ペルーで生まれる日本の教育制度の下で学び、ICU一般入学試験を経て、2012年4月に教養学部に入学。在学中は、学業のほかに、国際NGOプラン・インターナショナルのユースとして活動。卒業論文は在日南米人のメディア消費とアイデンティティ」について執筆。